住宅は、住んでいる人のステータスやセンスを表します。大きい住宅は、富や社会的地位を表し、スタイリッシュな家はその人の好みや感性を表します。それでは、外見の状態が悪く、しかも古臭い家だったらどうでしょうか。住んでいる人の印象は、悪くなるかも知れません。
当記事で取り上げるUR賃貸住宅は、古い物件が多く、あまり良い印象が持たれません。また、人によっては恥ずかしいとさえ感じるようです。
そこで、当記事ではUR賃貸住宅について、“恥ずかしい”と思う人の心理や理由、そしてメリットとデメリットを挙げて、本当に恥ずかしい物件なのかを検証します。
目次
UR賃貸住宅は恥ずかしいか
冒頭に取り上げたように、UR賃貸住宅を恥ずかしいと思う人は多いようです。
恥ずかしいと感じるタイミングとして、例を挙げれば、お客様を家に迎えるときです。そのお客様がきれいなマンションに住んでいる場合には、やはり引け目を感じてしまいます。また、大きな注文住宅に住んでいる場合には、格差を感じることでしょう。
また、子供の友達を呼んだときにも恥ずかしく感じることがあるようです。その友達から建物の外観や、設備を心無い言葉で表現されたときなどは、親として恥ずかしいと思うかも知れません。
他にも、隣の部屋の住人がマンションと購入して出て行く場合、ある種の羨望と恥ずかしさを感じるケースもあり得ます。当然、これらは心理的な要因のため、どう感じるかは人によって千差万別です。しかし、恥ずかしいと思う人は、少なくないと思われます。
UR賃貸住宅を恥ずかしいと感じる理由
それでは、UR賃貸住宅を恥ずかしいと思う人は、具体的にどのような理由で恥ずかしいと感じるのでしょうか。代表的な要因を改めて挙げてみましょう。
外見が古くてボロボロ
UR都市機構が設立されたのは1955年です。設立から今まで多くの住宅を供給して来ました。そのため、古い物件がそのまま使われているケースが少なくありません。そして、そのような物件は、古くてボロボロの場合も多く、一般的な民間マンションと比較すると引け目を感じます。
UR賃貸住宅であっても、外装を塗り替えてイメージアップを図っている物件も確かに存在します。しかし、新しいマンションに比べて、外見ではかないません。住んでいる人は、その点に恥ずかしさを感じるのです。
設備が不便
UR賃貸住宅は設備の面でも不便です。そのため、住んでいる人は恥ずかしい思いをする可能性があります。
前述の通り、UR賃貸住宅は築年数が古い物件が多いです。そのため、内部の設備も古いままの場合が少なくありません。また、エレベーターが付いていない物件もあり、エントランスのポストなども旧態依然として不便であり、見た目もよくないです。
一方の民間のマンションは、カメラ付きのインターホン完備も珍しくありません。UR賃貸住宅に住んでいると、設備面で引け目を感じてしまい、恥ずかしさを覚えるのです。
安っぽいイメージがある
UR賃貸住宅は一般の民間マンションと比較して安っぽく見えることが多いです。そのため、住んでいる人は恥ずかしさを覚えてしまいます。
たとえば、民間マンションであれば、外壁はタイル張りである一方、UR賃貸住宅で、それほど見栄えの良い物件は少数です。そのため、豪華さは感じられず、安っぽい物件に見えてしまうのです。
民度が低いイメージがある
UR賃貸住宅の物件は、民度の低さも連想させてしまいます。これは物件の古さ、不格好さ、不便さなどから来るマイナスのイメージです。物件の欠点から劣悪な環境を想像し、そこに住む人の評価も著しく落としてしまうのです。
所得が低いイメージがある
後述しますが、UR賃貸住宅は決して家賃が安い訳ではありません。しかし、物件の外観や設備の古さから家賃が安いと思い込んでしまう人は少なくありません。むしろ、住んでいる人の所得を低いと決めつけてしまうのです。
UR賃貸住宅のデメリット
このように、UR賃貸住宅には住む人が恥ずかしいと思う要因がいくつもあります。しかし、その思い込みは必ずしもUR賃貸住宅のデメリットと合致している訳ではありません。そこで、本項ではUR賃貸住宅における実際のデメリットを解説します。
家賃は意外に高い
意外かも知れませんが、UR賃貸住宅は一般の民間マンションよりも家賃相場は高めです。特に、この傾向は大都市になると強くなります。都心部のUR賃貸住宅は、周囲の民間マンションより高くなってしまう場合もあるのです。
ただし、家賃はさまざまな要因で決まります。物件を探す場合には、UR賃貸住宅と周辺の物件を比較しながら探すことをおすすめします。
競争率が高い
URの物件は競争率が高く、簡単に入居できません。特に首都圏の人気物件はその傾向が顕著で、すぐに埋まってしまいます。
たとえば、UR賃貸住宅には超高層物件があり、上層階は人気が非常に高いです。そのため、空いたとしても、すぐに埋まってしまいます。
なお、UR賃貸住宅への入居は先着順で決まります。空き物件の情報を入手したと思ったら、既に先約が入っていたということが少なくないのです。
審査基準が高い
賃貸不動産の契約には審査を通らなければいけません。収入や勤務先、勤続年数などをチェックされ、問題なく家賃が支払えるかを確認されます。
UR賃貸住宅の審査は、一般の賃貸物件よりも厳しい基準が設けられています。収入に対する家賃の割合なども細かくチェックされますが、その基準が高いのです。
部屋の広さや家賃の条件によっても異なりますが、基準月収額として家賃の4倍以上を求められることもあります。家賃を抑えたい人にとっては、大きなデメリットといえるでしょう。
立地的に不便な場合がある
UR賃貸住宅は立地的に不便である場合も珍しくありません。目立つのが駅から離れているケースで、駅までバスを使わなければいけない場合が少なくないのです。立地的な不便利さは、通勤や通学に電車を使う人にとっては、特に大きなデメリットといえるでしょう。
また、大きなショッピングセンターから離れている場合もあり、買い物に不便を感じることもあります。買い物が不便なのは、生活を送るうえで大きな欠点です。この点では、一般のマンションと比較して大きく見劣りしてしまうでしょう。
UR賃貸住宅のメリットを再確認してみよう
これまで解説してきたように、UR賃貸住宅には一般的な想像とは異なったデメリットが存在します。しかし、メリットについてはどうでしょうか。
当然ながら、UR賃貸住宅にもメリットはあります。しかし、このメリットは一般には想像されにくいものも多いです。そこで、本項ではUR賃貸住宅のメリットを改めて確認します。
初期費用が安い
まず挙げられるのが初期費用の安さです。一般の賃貸マンションであれば、敷金・礼金・仲介手数料が必要となりますが、UR賃貸住宅の場合は、礼金と仲介手数料は必要ありません。敷金は2カ月分発生するのですが、それでも礼金や仲介手数料の発生する一般の物件に比べると割安です。
ただし、一般の民間マンションでも敷金や礼金が無料のゼロゼロ物件があります。賃貸物件の初期費用を抑えるのであれば、これらをトータルして考えることが必要です。
保証人不要
保証人が不要であることも大きなメリットです。賃貸不動産の契約には、一般的に連帯保証人が必要です。しかし、事情があって保証人を立てられない人も少なくありません。
特に、今では核家族化が進み、単身世帯も多くなっています。昔よりも、保証人を立てにくいケースが多いといえるのです。
また、仮に家賃保証会社を利用したとしても、家賃保証会社に支払う費用が発生してしまいます。その点UR賃貸住宅であれば、保証人そのものを要求されません。入居の際のメリットは大きいです。
原状回復の費用が明確
賃貸不動産は退去の際には原状回復をしなければいけません。物件を借りた時の状態に戻して返さなければいけないのです。
原状回復工事には、敷金が充てられるのですが、原状回復工事の内容が明確でないことが多くありました。その結果として、家主と入居者が敷金をめぐって争うことも少なくありません。
その点、UR賃貸住宅では原状回復工事の費用負担が明確に細かく規定されています。その結果、敷金をめぐるトラブルも少ないです。
割引制度がある
UR賃貸住宅にはさまざまな割引制度があります。たとえば、子育て割と呼ばれる制度があり、最長で9年間20%の家賃を割引してくれます。適用が新婚世帯や18歳未満の子供がいる世帯となっているため、子育て世帯の強い味方となってくれるでしょう。
また、親世帯と子世帯が近くに住む場合に適用となる近居割があります。制度の利用には、親世帯と子世帯の両方がUR賃貸を利用するなどの条件を満たすことが必要ですが、最大5年間家賃の20%が割引されます。
このような割引制度は、一般の民間マンションではありません。家賃の交渉は可能でしょうが、20%の値引きを実現させるのは困難です。
部屋が広い
UR賃貸住宅は、基本的にゆったりした間取りで部屋を構成しています。他の賃貸マンションよりも広く感じる物件も多く、その分だけ心に余裕が生まれます。ただ、前述のように家賃が高いデメリットがあるので、部屋と家賃のトータルで部屋を決めることがポイントとなるでしょう。
敷地の広さ
UR賃貸住宅は敷地が広いことも大きなメリットです。広い敷地内には緑地帯や公園が設けられていることも多く、生活にゆとりが生まれます。
一方の一般賃貸マンションは、敷地の建ぺい率いっぱいに建てられていることが多く、広さの点では余裕がありません。確かに外構部分に余裕がある一般のマンションはあるのですが、それでも狭く感じてしまいます。
UR賃貸住宅のように子供を遊ばせるだけの余裕は持てないので、大きな差といえるでしょう。
治安が良い
治安が良い点もUR賃貸の大きなメリットです。一般のマンションの場合、駅から近い物件は利便性が高いとして好まれます。しかし、駅から近い場所は繁華街がある場合が多く、治安の悪いケースがよく見られます。
UR賃貸住宅の場合は、集まって建っている場合が多くなっています。また、繁華街が近くに無い場合が多いので、総じて治安は良いです。
生活の利便性
場所にもよりますが、UR賃貸の中には敷地内にさまざまな施設を設けている物件があります。また、多くのテナントがあり、さまざまな業種が入っています。生活の利便性が保たれている点ではメリットといえるでしょう。
一般のマンションは、必ずしも生活の利便性が高くない場合もあります。この点は、UR賃貸住宅と比較すると、大きな差といえそうです。
リノベーション物件がある
UR賃貸住宅は、旧態依然とした物件が多いです。しかし、全ての物件が旧態依然としているわけではなく、リノベーション物件もあるのです。
リノベーションは価値を底上げした改装のため、従来のUR賃貸住宅での生活よりも格段に便利で快適になっています。ただ、前述したようにUR賃貸住宅は、基本的に競争率が高いです。リノベーション物件は他の部屋よりも人気があるので、空室が出た途端に申し込まれるケースが多くなかなか入居できません。
DIYリフォームが可能な物件がある
一般の賃貸マンションではDIYでの改装は基本的にはできません。ケースにもよりますが、原状回復がネックになってしまうことでしょう。しかし、UR賃貸住宅には、DIYでのリフォームを許可している物件があります。これはDIYの上手な人にとっては大きなメリットです。
今はホームセンターや通信販売で多くのDIY用材料が手に入ります。壁紙、床材など、凝ったアイテムも少なくありません。そのようなアイテムを使ったDIYリフォームは、理想通りの部屋を安く作れるため魅力的です。
UR賃貸物件は本当に恥ずかしいのか
ここまで解説してきたように、UR賃貸住宅には一般に思われている恥ずかしさとは別に、独特のメリットとデメリットがあります。そのため、トータル的に考えるならば、恥ずかしいよりも便利だと考える人が多いと思われます。そのため、恥ずかしいと考えるより、自分に合う・合わないを尊重してください。
いずれにしても、不動産は外観や設備だけでなく、環境や治安なども鑑みて決めるべきです。一般の民間マンションにも魅力があり、UR賃貸住宅にも別な利点があります。自分のこれからの生活を考えて決めるのがベストです。
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まとめ
UR賃貸住宅について、恥ずかしいという観点から解説を行ってきました。印象だけで決めるのではなく、総合的なメリットとデメリットを見るべきであることが分かっていただけたと思います。
部屋選びは簡単では無く、迷うことも多いと思います。UR賃貸住宅を候補に入れる時には恥ずかしさは一旦置いておいて、条件を冷静に分析することが重要といえるでしょう。