総務省とはどんな省庁?概要や歴史、主要組織について分かりやすく解説!

総務省とはよく耳にする省庁の一つですが、どのようなところで、どんな業務を行っているかご存じでない方も多いでしょう。しかし、実は国民の生活に深く関わる重要な政策を多く実行しているのです。
そこで本記事では、総務省の概要から紹介していき、近年推進しているSociety5.0について詳しく解説します。
総務省とは
総務省とは、大臣官房や行政評価局、行政管理局などから構成されている中央省庁の一つです。12省庁の中でも幅広い分野を管轄しており、国民の生活を支える基盤を作ったり社会支援などを行ったりしています。具体的には、行政運営の改善や選挙管理、マイナンバーの管理監督などが挙げられます。
また総務省は国民の生活基盤の整備だけでなく、内閣や総理大臣をサポートする役割も担っています。このように行政機関と密接な関係を持っていることから、総務省は「省庁の中の省庁」と呼ばれることもあります。
総務省の歴史
総務省は2001年に誕生した省庁で、通信や郵政を担当する郵政省と地方や選挙、消防を担当する自治省、そして統計や恩給を担当する総務庁の3つの機関が合併して作られました。
総務省の前身機関は内務省で、当時は警察権や省庁運営、通信と幅広い権力を持ち、国家を運営できるほどだったと言われています。
しかし、GHQによって解体された後は、厚生省や警察、自治省などに細かく分割されました。GHQが内務省を解体した理由には、内務省に権力が集中しすぎていたことや実質的な国民の監視機関だったからだとされています。
総務省の主要組織
幅広い分野を管轄する総務省には、いくつかの組織が存在します。取り扱う分野が広いため、総務省では30万人を超える職員が働いています。その中でも、国民の生活に大きく関わっている機関を5つ紹介します。
大臣官房
大臣官房は、省の舵取りを行う役割を担っています。現在日本は財政赤字や少子高齢化など、さまざまな問題を抱えています。しかし、これらの問題は単体の省だけでは解決できるものではないため、複数の省庁が互いに協力しあって問題や課題の解決に臨む必要があります。
その際に必要になるのが、複数の省庁間をつなぐ舵取り役です。つまり、各省庁の調整役としての役割を果たしているのが大臣官房なのです。
具体的な業務には、各種政策の企画・立案や総務省が取り組んでいる重要課題を国民へ公表することなどが挙げられます。ほかにも省庁に勤務する人材の配置や育成、福利厚生の向上など省庁内の職場環境を整える業務も担っています。
行政評価局
行政評価局とは、各省庁がきちんと仕事をしているのか調査して、問題点や課題を分析した上で改善策を提示する役割を担っている組織です。実際に担当している業務を具体的に挙げると、各省庁の政策に関する評価の推進や行政運営の改善調査、行政相談などがあります。
場合によっては、各省庁が行っている政策や業務が本当に必要なものかどうか厳しくチェックすることもあります。
行政管理局
行政管理局とは、行政機関の効率化やスリム化など行政の働き方改革を推進する役割を担う組織です。具体的には、業務プロセスの見直しや改善、独立行政法人制度の適正な運用確保などを行っています。
統計局
統計局とは、国勢調査をはじめとした国の統計調和の企画や立案、実施を行う組織です。社会経済の目まぐるしい変化に対応するために、正確な統計資料を作成しています。
国勢調査の他には、失業率や労働力人口の調査、物価などの経済統計も統計局が担っています。統計局が集めているデータは、日本の国力を示す重要なものばかりです。統計局の公的データはすべて公開されており、検索すればすぐに閲覧できるようになっています。
消防庁
消防庁とは、日本の消防活動の統轄を担っている組織であり、総務省の外局に位置づけられています。しかし、消防機関は基本的には市町村が管理している組織であるため、消防庁の権限は助言や指導、調整までとなっています。
消防庁のおもな業務は、各種法令の策定や消防に関わる職員の教育訓練、防災に関する制度改革などです。また緊急時には、官邸や地方団体との連絡調整役としての役割も果たします。
総務省の予算
総務省の予算は、おもに5つの分野に分かれています。それぞれ詳しく解説します。
経済
経済分野では、地方経済の活性化や地域雇用の創出など地方への人の流れを作り出し、過疎化を防止するための政策に使用されます。
- 光ファイバーや5Gの全国展開に関する支援
- 遠隔医療などの医療分野
- テレワークやデジタル人材育成など働き方の多様化の推進
全国で快適な生活が送れるよう、これらの支援に予算が使われています。
行政
行政分野では、国民が安全に快適で便利な生活が送れるように、行政の高度化や効率化などに予算が使われています。具体的には、グローバル戦略やキャッシュレス決済の推進、マイナンバーカードの活用や普及で活用されています。
地方行政
地方行政分野では、地方の行政財源を安定して確保するために予算が組まれています。具体的には、自治体ごとの情報システムの標準化や地域の枠を超えた連携推進で使用されています。
公的サービス
公的サービス分野では、郵政関係の事業や国民生活に関する統計で使われています。具体的には、郵便局の利便性の向上や国勢調査のスムーズな実施などに使用されています。
防衛
防衛分野では、大規模災害に対応できる消防防災の設備などに予算が組まれています。具体的には、復興の応援体制の整備や防災ネットワークの強化、公衆無線LAN設備の展開などに使用されています。
実際に東日本大震災などの災害発生時には、この予算が使われました。
総務省が推進するSociety5.0とは
現在総務省では、「Society5.0時代の持続可能な地域社会の構築」を掲げています。内閣府が公開しているSociety5.0の定義は、以下のとおりです。
「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」
(参考:Society 5.0|内閣府)
概要と具体例について、それぞれ解説します。
Society5.0の概要
Society5.0とはAIやインターネットなどのIT技術を社会システムに積極的に導入しようとする概念であり、すでに医療や農業などさまざまな分野でこの政策が推し進められています。
なかでも総務大臣が力を入れているのがICTグローバル戦略懇談会であり、社会全体のデジタル化を現実化するために立ち上げられました。ICTグローバル戦略懇談会では、ICT分野の研究開発を推進して社会に実装することで、社会問題の解決やICT技術の海外展開などを目指しています。
ICT化の具体例
現在日本では、医療や建築などあらゆる分野において積極的にICT化が進められています。たとえば、医療の分野ではカルテや処方箋の電子化や、保険証とマイナンバーカードの連携などが進行しており、各医療機関での情報共有の円滑化やインターネットを使用した遠隔診療などに活用されている状況です。
また教育の現場では、小学生から一人に一台のパソコンやタブレットが与えられ、それらを使用した授業や教育の展開が実施されています。ビデオ通話アプリなどを使用したオンライン授業なども導入が進んでいるところです。
そのほかにも、介護分野ではICT技術を利用した高齢者の見守りシステムの普及が加速しています。インターネットを介して情報を送ることで、遠隔地同士でも医師や看護師、ホームヘルパーなどに健康管理をしてもらうことも可能です。こうしたシステムは、田舎などの過疎地における介護人員不足の解消への対策として、ますます需要が高まるでしょう。
総務省に関するよくある質問
総務省は何をするところ?
総務省は、日本の国や地域がうまく動くように支える役所です。たとえば、地方自治体のお金の管理や選挙の運営、インターネットや電話の通信ルール作りなど、私たちの生活を守るための仕事をしています。総務省があることで、安心して暮らせる社会や便利な生活が実現しています。
総務省はどんな仕事をしているの?
総務省の仕事は、選挙の管理や、地方自治体へのお金のサポート、災害時の消防の指導、携帯電話やインターネットの仕組み作りなど多岐にわたります。
また、郵便やテレビ・ラジオなどの放送、国の統計データのまとめも担当しています。仕事を通じて、国民が安心して暮らせる環境を整えてくれているのです。
国民の生活に大きく関わる総務省
総務省が管轄している分野はとても幅広く、どれも国民の生活の基盤を整えるものであることが分かります。各省庁との調整役でもある総務省は、他の組織や機関との関わりが多く、本記事で紹介した仕事以外にもさまざまな業務をこなしています。
私たちの生活には、総務省が大きく影響していることは言うまでもありません。自分たちの生活基盤を作っている組織について学ぶことは、自分たちの生活をより良くしていくことにつながるので、ぜひ総務省に関する知識を深めておきましょう。