収入印紙とは政府が発行する証票であり、印紙税と呼ばれる税金を納付する際に使用します。本記事では、収入印紙の概要や購入できる場所、収入印紙の貼り方、貼り忘れてしまった時の罰則などを紹介します。
収入印紙とはそもそも何なのか、どうやって貼り付けるのかなど、基本的な部分を知りたい人はぜひ参考にしてください。
目次
そもそも収入印紙とは?
収入印紙とは、政府が発行する証票を指します。契約書や領収書などの金銭を伴う取引に伴う作成した書類には印紙税と呼ばれる税金が課せられますが、この印紙税を支払う際に使用するのが収入印紙です。
収入印紙は一見すると郵便を送る際に使う切手と似ています。しかし、使い方が異なるため混同しないように注意してください。
また収入印紙と混同しやすいものに収入証紙があります。収入印紙は国に対して税金を支払う際に使用するもので、一方収入証紙は地方公共団体に対して税金を支払う際に使用するものであり、こちらも使い方が異なるため間違えないようにしましょう。
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収入印紙を購入できる場所?
収入印紙は、私たちにとって身近な場所で購入できます。具体的な購入場所には、以下のようなところがあります。
- 郵便局
- 法務局
- 役所
- コンビニ
- 金券ショップ
- たばこ屋
収入印紙にはいくつかの種類があり、購入場所によっては取り扱っていない種類もあります。しかし、郵便局・法務局・役所では全種類の収入印紙が購入可能です。ただし、在庫に限りがあるため、複数収入印紙を購入する際は注意してください。
またコンビニでは、取り扱っている収入印紙は200円のもののみであるケースが一般的です。そのため、高額な収入印紙などが必要な場合は郵便局などで購入しましょう。
そのほかに金券ショップでも購入できます。金券ショップは通常よりも安い金額で購入できる点がメリットですが、消費税の課税や仕訳の際の勘定科目に違いが出てくるため注意しなければなりません。
現在ではあまり見かけなくなりましたが、たばこ屋で取り扱っているケースもあります。
【収入印紙の貼り方】
収入印紙を貼る際にのりは必要?
収入印紙の貼り方は切手と同じです。収入印紙の裏面にのりが付着しているため、少し水分を加えて貼り付けてください。
収入印紙を貼る場所は?
収入印紙を貼る場所に特に決まりはありません。しかし、契約書では左上に貼り、領収書では貼り付け欄に貼るケースが一般的です。なお、領収書で収入印紙を使う場合には消印を領収書と収入印紙にまたがるように押す必要がある点に注意しましょう。
収入印紙が複数枚ある場合は?
印紙税額によっては、収入印紙を複数枚貼り付ける場合もあります。必要な金額が大きくなることもあるため、収入印紙を複数枚貼り付けるのは問題ありません。
また複数枚貼り付ける際は、上下または左右に並べるのが一般的です。
消印の押し方は?
消印とは、収入印紙と領収書などの文書にまたがるように押すハンコを指します。収入印紙を使う際には、消印を押す場合があることに注意しなければなりません。
この時はっきりと見えるように押すことがポイントです。使用するハンコは、シャチハタやゴム印などでも構いません。また消印の目的は収入印紙の再利用防止であるため、印鑑がない場合は署名でもOKです。収入印紙を貼り付けただけでは印紙税を納付したことにならないため、忘れないようにしましょう。
なお収入印紙を複数枚貼る場合は、収入印紙1枚に対してそれぞれ消印を押したり、2枚にまたがって押したりしても大丈夫です。
収入印紙を間違えて貼った場合の対処法
収入印紙を間違えて貼ってしまった場合でも、未使用であるケースと明らかに印紙税の課税対象でない文書(封筒など)に貼り付けられているケースでは、新品に交換できます。交換手続きは郵便局のみで行うことができ、交換手数料を支払って交換します。ただし、汚れている場合などは交換できないケースもあるため注意してください。
一方、課税対象となる文書に収入印紙を貼り付けた後に契約中止などの理由によって使用できなくなった場合は印紙税過誤納確認申請書を作成し、収入印紙を貼り付けた文書とともに税務署に提出します。そして間違って貼ってしまったことが認められれば、後日金融機関に還付金が振り込まれます。
なお、具体的な手続きや印紙税過誤納確認申請書は国税庁の以下のリンクからご覧いただけます。
[手続名]印紙税過誤納[確認申請・充当請求]手続
印紙税過誤納確認申請(兼充当請求)書
収入印紙を貼り忘れてしまったらどうなる?
収入印紙を貼り忘れてしまうと、印紙税法違反となり過怠税が課されます。簡単にいうと、本来
納付すべきだった税額以上の金額を支払わなければならなくなるということです。
過怠税は本来の印紙税額+その印紙税額の2倍の額となるため、本来の納付額の3倍を支払わなければなりません。例えば200円の収入印紙を貼り忘れてしまった場合は、過怠税を含めて600円を支払うことになります。
ただし、収入印紙を貼り忘れたことを税務調査よりも前に自主申告した場合は1.1倍の額にまで減額されます。そのため、気づいた場合は早めに申告するようにしましょう。
なお、収入印紙を貼り忘れたからといって、契約書や領収書の有効性が失われるわけではありません。なぜなら、領収書や契約書にはすでに具体的な売り上げ代金や発行者などが記載されており、収入印紙を貼り忘れたとしてもその事実は変わらないためです。
また、収入印紙を貼り忘れた書類を受け取った方は罰則の対象とはなりません。過怠税は収入印紙を貼り忘れた方である文書の発行者に対してのみ課されます。
収入印紙代はどちらが負担する?
基本的に収入印紙代は、課税対象となる文書を作成した方が負担します。ただし、契約書など2通作成してそれぞれが文書を保管する場合は2通とも収入印紙が必要となるため、双方が収入印紙を用意して貼り付けるケースが一般的です。
収入印紙が必要なケース・不要なケース
収入印紙が必要な文書は、印紙税法によって定められています。具体的には、第1号から第20号までの文書を作成する際に印紙税が課されるため、収入印紙が必要となります。
第1号〜第20号までのうち、代表的な文書を以下に記載します。
第1号文書 |
不動産屋権利、消費貸借、運送にかかわる契約書など |
第2号文書 |
工事請負契約書や広告契約書、物品加工注文請書、映画俳優専属契約書など |
第5号文書 |
株式会社同士の合併や吸収分割にかかわる契約文書など |
第7号文書 |
売買取引基本契約書や特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書、銀行取引約定書など |
なお、ビジネスに関する全ての文書に収入印紙が必要であるわけではありません。例えば、見積書や納品書などには収入印紙は不要です。
また収入印紙が必要な文書でも、条件によっては非課税となる場合もあります。例えば、第1号文書で記載された契約金額が1万円未満であれば非課税になります。
そのほかにも、PDFやFAX、メールなどで電子契約を結ぶ場合も収入印紙は不要です。なぜなら、電子契約は印紙税の対象となる文書には該当しないためです。もし電子契約を結んだ書類をプリントアウトした場合でも、収入印紙は要りません。
そのため、電子契約システムなどを導入すればコスト削減につなげられるでしょう。
収入印紙の印紙税額一覧
収入印紙の印紙税額は第1号文書から第20号文書までそれぞれ定められています。具体的な税額は以下の通りです。
1号文書 |
記載された契約金額が1万円未満:非課税
10万円以下:200円
10万円を超え50万円以下:400円
50万円を超え100万円以下:1,000円
100万円を超え500万円以下:2,000円
500万円を超え1千万円以下:1万円
1千万円を超え5千万円以下:2万円
5千万円を超え1億円以下:6万円
1億円を超え5億円以下:10万円
5億円を超え10億円以下:20万円
10億円を超え50億円以下:40万円
50億円を超える:60万円
契約金額の記載のないもの:200円 |
2号文書 |
記載された契約金額が1万円未満:非課税
10万円以下:200円
10万円を超え50万円以下:400円
50万円を超え100万円以下:1,000円
100万円を超え500万円以下:2,000円
500万円を超え1千万円以下:1万円
1千万円を超え5千万円以下:2万円
5千万円を超え1億円以下:6万円
1億円を超え5億円以下:10万円
5億円を超え10億円以下:20万円
10億円を超え50億円以下:40万円
50億円を超える:60万円
契約金額の記載のないもの:200円 |
3号文書 |
記載された手形金額が10万円未満:非課税
10万円以上100万円以下:200円
100万円を超え200万円以下:400円
200万円を超え300万円以下:600円
300万円を超え500万円以下:1,000円
500万円を超え1千万円以下:2,000円
1千万円を超え2千万円以下:4,000円
2千万円を超え3千万円以下:6,000円
4千万円を超え5千万円以下:1万円
5千万円を超え1億円以下:2万円
1億円を超え2億円以下:4万円
2億円を超え3億円以下:6万円
3億円を超え5億円以下:10万円
5億円を超え10億円以下:15万円
10億円を超える:20万円 |
3号文書の中でも以下のもの
- 一覧払のもの
- 金融機関相互間のもの
- 外国通貨で金額を表示したもの
- 非居住者円表示のもの
- 円建銀行引受手形表示のもの
|
記載された手形金額が10万円未満:非課税
10万円以上:200円 |
4号文書 |
記載された券面金額が500万円以下:200円
500万円を超え1千万円以下:1,000円
1千万円を超え5千万円以下:2,000円
5千万円を超え1億円以下:1万円
1億円を超える:2万円 |
5〜7号文書 |
一律で4万円 |
8〜16号文書 |
一律で200円 |
17号文書 |
記載された受取金額が 100万円以下:200円
100万円を超え 200万円以下:400円
200万円を超え 300万円以下:600円
300万円を超え 500万円以下:1,000円
500万円を超え1千万円以下:2,000円
1千万円を超え2千万円以下:4,000円
2千万円を超え3千万円以下:6,000円
3千万円を超え5千万円以下:1万円
5千万円を超え1億円以下:2万円
1億円を超え2億円以下:4万円
2億円を超え3億円以下:6万円
3億円を超え5億円以下:10万円
5億円を超え10億円以下:15万円
10億円を超えるもの:20万円
受取金額の記載のないもの:200円 |
18号文書 |
1年ごとに200円 |
19号文書 |
1年ごとに400円 |
20号文書 |
1年ごとに4,000円 |
文書の種類によって細かく税額が設定されているケースもあるため、金額を間違えないように注意してください。
印紙税の納付には収入印紙を
本記事では収入印紙の概要や貼り方、貼り間違えた時の対処法、貼り忘れた時の罰則などについて解説しました。収入印紙は印紙税と呼ばれる税金を納付する際に使用するものです。
郵便局やコンビニなど身近な場所で簡単に購入できます。貼る場所については明確なルールはありませんが、貼り忘れてしまうと罰則の対象となり過怠税が課されるため注意してください。
また、電子契約など一部の文書に関しては印紙税の課税対象外となります。そのため、コストを抑えたい場合には電子契約サービスの利用がおすすめです。
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