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労働者派遣法とは?制定の目的と変遷、2020年の改正ポイント

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労働者派遣法は、いわゆる「派遣」に関する法律です。この法律は派遣労働者にとって重要な法律で、これまでに大きな改正が何度も行われています。自分の会社は派遣会社でないから関係がないと思われがちですが、実は派遣労働者を受け入れる派遣先事業主にも義務を課している法律です。

目次

労働者派遣法とは

「労働者派遣法」は、派遣労働者を保護するための法律です。「雇用形態によらない公正な待遇確保」を目的とし、正式名は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」といいますが「労働者派遣法」「派遣法」と呼ばれることが一般的です。派遣労働者に対する保護をより確かなものとするため、改正が繰り返され、2020年4月に「改正派遣法」が施行されました。

労働者派遣法の歴史

労働者派遣法は1986年に初めて制定され、その後2012年、2015年、2020年と3回にわたって大きな改正が行われています。

2012年までの改正では、派遣業務の追加や、紹介予定派遣の解禁、派遣を禁止する業務の制定(それ以外の業務での派遣解禁)、派遣期間の延長など「広げていく」ことが主な改正内容でしたが、2012年に派遣労働者を守るための法律として明確かつ大きな改正が行われ、規制の強化や派遣労働者の待遇改善推進といった「保護」を中心とした改正が続いています。

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【2020年施行】改正労働者派遣法のポイント

労働者派遣法は前述のように、派遣労働者を守り、待遇を改善するために改正が続けられています。背景として、派遣労働者は正社員に比べて不安定な雇用状態であること、そして正社員と比べて賃金や福利厚生の面に差がある場合が多いことなどが挙げられます。

最新の労働者派遣法改正の目的は、派遣労働者と正社員との待遇差を減らすため、「同一労働、同一賃金」を実現するためで、まさに派遣労働者を守る大改正であると言えます。改正労働者派遣法の主なポイントは次のとおりです。

賃金決定方法を厳格化

派遣労働者と正社員との賃金格差をなくすため、以下の方法のいずれかで、賃金を決定するように定められました。「派遣先均等・均衡方式」は、賃金を派遣先事業主の通常従業員(正社員)と同様とする方法で、「労使協定方式」は、一定の要件を満たす労使協定によって決定する方法です。

派遣先均等・均衡方式では、派遣先事業主が派遣元事業主に対して、正社員にいくらの賃金を払っているか情報を提供するよう義務付けられ、実現したものです。

労使協定方式は、派遣会社と派遣社員の間で賃金を決定する方法ですが、労使協定が適切に定められていない場合や、労使協定で定めた事項を遵守していない場合には派遣先均等・均衡方式が適用されます。

派遣先から派遣元への説明義務

派遣先事業主から派遣元事業主へ、前述した賃金などの情報を説明する義務が定められました。

派遣元から派遣社員への説明義務

派遣会社は、派遣社員に対して、次のような説明義務が定められました。

・派遣先均等・均衡方式において、どのような措置を講ずるか

・労使協定方式において、どのような措置を講ずるか

・職務の内容や職務の成果、意欲、能力または経験、その他の就業の実態に関する事項を勘案し、どのように賃金を決定するか

これらの説明により、派遣社員が不合理な待遇差を感じることがないようにすることが目的です。また、派遣社員を採用する場合には、次のような説明が義務付けられました。

・昇給の有無 

・賞与の有無

・退職金の有無

・労使協定の対象となる派遣社員か否か(対象の場合、労使協定の有効期間)

・派遣社員から申し出を受けた苦情処理に関する事項

派遣先企業が講ずるべき5つの項目を規定

改正派遣法では派遣労働者が実際に勤務を行う派遣先企業に対して、派遣労働者に講じるべき項目を規定しました。具体的には次のとおりです。

・派遣先事業主の正社員と同等の教育訓練の実施

・派遣先事業主の正社員と同等の福利厚生

・派遣料金の交渉における配慮

・派遣元事業主への情報提供の配慮

・派遣先管理台帳の追加事項

「派遣先管理台帳の追加事項」とは、これまでの派遣先管理台帳に「派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度」と「協定対象派遣労働者であるか否かの別」の記載を追加することです。

派遣労働者向けに行政ADR整備

派遣労働者と派遣会社とのトラブルを裁判以外の方法で解決する手続きが、「行政ADR(裁判外紛争解決手続)」です。行政ADRは、当事者の一方、または双方の申し出があれば、都道府県労働局が解決の援助を行い、裁判よりも早期解決が望める仕組みで新たに派遣労働者と派遣会社向けに整備されました。

* ADRとは「Alternative(代替的)」「Dispute(紛争)」「Resolution(解決)」の略語

労働者派遣法違反の罰則

労働者派遣法に違反した事業者にはどのような罰則があるのでしょうか。いくつかの例をもとに解説します。

・派遣先事業主が派遣元事業主に情報を提供しない、または虚偽の報告をした

→派遣先事業主に対して勧告が行われ、公表されます。

派遣先事業主からの情報を派遣元事業主が保存しない

→派遣元事業主には許可取り消しや業務停止、改善命令などが行われます。

派遣従業員に対して待遇などの説明をしない

→許可取り消しや業務停止、改善命令などが行われます。

・派遣元事業主が派遣従業員に対して不合理な待遇をした

→許可取り消しや業務停止、改善命令などが行われます。

労働者派遣法違反は、派遣労働者を守るための法律です。違反した派遣元事業主に対しては厳しい罰則があり、悪質な場合、派遣事業の許可を取り消されることもあります。派遣元企業も派遣先企業も、派遣労働者のことを第一に考え、誠実な対応をしていく姿勢が求められています。

労働者派遣法は派遣労働者を守るために日々進化する法律

労働者派遣法は、派遣労働者と正社員との待遇格差をなくし、派遣労働者を守るための法律です。

昨今の急激な社会や経済の変化から派遣労働者を守るために、改正も頻繁に行われています。最新の改正労働者派遣法では、派遣労働者と正社員との待遇格差を埋めるべく派遣元、派遣先両方に新たな義務が追加されています。企業は派遣労働者のために、しっかりとした知識を持って誠実な対応を行いましょう。

なお、労働者派遣法は2021年にも改正が行われ、派遣労働者への説明義務の強化・派遣契約書のデジタル化など複数の事項について修正等が行われています。必要に応じて最新情報を確認するとよいでしょう。

また近年では、いわゆる「働き方改革」の一環として労働関係の法律が多数改正されています。最新の改正法に対応するためにも、以下の記事を参照されることをおすすめします。

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この記事を書いた人

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