反社会的勢力排除条項の正しい記載方法がわからない…
反社会的勢力排除条項の不備は、企業の社会的信用やコンプライアンス体制に重大な問題をもたらします。あいまいな表現や証明方法の欠如によって、トラブルになるリスクもあるため、明確な記載と同意形成が必要です。
この記事では反社会的勢力の排除条項に記載すべき項目や書き方、ひな形を紹介します。契約書へ盛り込む際や、覚書として作成する際の参考にしてください。
反社条項を記載したら、きちんと相手方の同意の証拠を残す必要があります。同意の証拠がなければ、契約解除などの際に正当性を証明できない可能性があるため、注意が必要です。
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目次
反社会的勢力とは?
反社会的勢力とは、社会の秩序や安全を脅かす存在であり、一般市民や企業に対して不当な要求や暴力的な行為をする集団や個人を指します。代表的なものとしては、以下などが挙げられます。
- 暴力団
- 暴力団員
- 準暴力団
- 総会屋
- 社会運動標榜ゴロ
- 特殊知能暴力集団
これらの勢力は、金銭の要求・威圧・恐喝・違法な取引などを通じて不正な利益を得ようとし、社会全体に悪影響を及ぼします。
企業や行政は、反社会的勢力との断絶が求められており、契約書に「反社会的勢力との関係がないこと」を明記するのが一般的です。また、警察や関係機関と連携し、反社会的勢力の排除に努める姿勢を示します。社会の健全な発展を支えるためには、反社会的勢力に対する正確な理解と、断固とした姿勢での対応が求められます。
なぜ契約書に反社会的勢力排除条項が必要なのか?
取引先の企業や個人と交わす契約書には、反社会的勢力排除条項の記載が必要です。記載しない場合、企業イメージが低下したり金融機関との取引が停止になったりする恐れがあります。契約書に反社会的勢力排除条項を設ける理由について解説します。
法令を遵守し、社会的責任を果たすため
企業が安定した経営を続けるためには、法令を守り、社会的責任を果たすことが欠かせません。
暴力団排除条例や警察庁の指導にもとづき、反社会的勢力との関係を遮断する姿勢が強く求められており、その具体的な対策の一つが、契約書への明文化です。条項を通じて、取引相手に反社会的勢力との関係がないことを確認すると同時に、関与が判明した場合の契約解除や損害賠償の根拠にできます。
反社会的勢力排除条項の記載は、企業のコンプライアンス体制を明確に示すうえで重要です。
企業のイメージと信用低下のリスクを避けるため
企業が反社会的勢力と関係を持つことは、たとえ無意識であっても重大な社会的批判を招き、企業イメージや信用の著しい低下につながります。一度でも反社会的勢力との関与が報道されれば、取引先や顧客からの信頼を失い、株価の下落や取引停止といった深刻な影響を受けるでしょう。
信用低下におけるリスクを未然に防ぐには、契約時に反社会的勢力排除条項を明記し、関係排除の意思を明確に示すことが重要です。万が一、契約後に相手方が反社会的勢力であることが判明した場合でも、条項に基づき速やかに契約を解除することで、企業イメージや信頼性への影響を最小限に抑えられます。
金融機関との取引停止を避けるため
企業が反社会的勢力と関係していると判断された場合、金融機関が企業との取引を停止する可能性があります。
銀行や証券会社は、マネーロンダリング対策や犯罪収益移転防止法の観点から、反社会的勢力との接点がある企業との関係を厳しく監視しています。取引先が反社会的勢力であると判明すれば、口座の凍結や融資の打ち切りといった措置が取られることもあり、企業活動に大きな支障が生じるでしょう。
契約書に反社会的勢力排除条項を設ければ、金融機関に対して健全性と法令遵守の姿勢を示せるうえ、信用維持につながります。
上場廃止に陥るリスクを避けるため
上場企業が反社会的勢力と関係していると発覚した場合、上場廃止に至る可能性があります。
証券取引所では、上場企業に対して高度なコンプライアンス遵守や社会的責任を求めています。反社会的勢力との関係は「上場維持基準違反」とみなされ、上場廃止に追い込まれる可能性があるでしょう。
なかでも東京証券取引所の「有価証券上場規程」では、反社会的勢力との関係を遮断し、適切に対応しているかどうかが重視されています。そのため、契約書に反社会的勢力排除条項を明記することが、上場企業としての信頼を守るうえで不可欠です。
反社会的勢力排除条項(反社条項)を契約に盛り込むことで、上場廃止などの重大なリスクが顕在化する前に、契約の解除や法的措置を講じられます。
事業継続リスクを回避するため
反社会的勢力との関与は、企業の事業継続に悪影響をもたらし、おもに以下のようなリスクがあります。
- 取引先や顧客からの信頼喪失
- 金融機関からの取引停止
- 行政処分
- 従業員や役員に対する威圧・脅迫
上記の事態が起これば通常の業務が困難となり、売上や生産活動が一時的または長期的に停止する恐れもあります。こうした事態を未然に防ぐためにも、契約時に反社会的勢力排除条項を設け、問題が生じた場合には即契約解除ができる体制を整えておきましょう。
従業員の安全を確保するため
企業が反社会的勢力と関わりを持った場合、最も影響を受けるのが従業員の安全です。反社会的勢力は威圧的な態度や暴力的手段を用いることがあり、取引や交渉の現場で従業員やその家族が精神的・身体的な危険に晒される場合もあります。
従業員の安全を確保するには、反社会的勢力との関係を遮断する仕組みが必要です。その一つが契約書への反社会的勢力排除条項の導入です。条項を設けることで、企業が毅然とした態度で対応する姿勢を社内外に示すことができ、従業員にとっても安心して働ける環境づくりにつながります。
契約書に記載すべき反社会的勢力排除条項
企業が法令を遵守し、社会的責任を果たす姿勢を明確にするためには、契約書に反社会的勢力との関与を排除する条項を盛り込むことが重要です。
この章では、関与が疑われた場合に契約を即時解除できるようにするための「反社会的勢力排除条項」の記載内容について、詳しく解説します。
定義規定
まずは、契約書内における「反社会的勢力の範囲と対象」について定めます。
あいまいな定義では、契約解除といった対応時に争いが生じる可能性があるため、法的に認知されている表現を参考に、網羅的かつ具体的に記載しましょう。一般的には暴力団や暴力団員など、さらに「これらに準ずる者」も含むことで抜け漏れを防げます。
「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」第12条の5により、過去に反社会的勢力に属していた場合、すでに関係を解消していても、5年以内であれば反社会的勢力の関係者と見なされる可能性があります。この点には十分ご注意ください。
表明・確約条項
自社内の人員や関係者を含め、契約当事者が現時点で反社会的勢力に該当しないこと、また今後も関与しないことを約束します。
表明・確約条項では「現在も将来においても反社会的勢力に該当せず、関与もしない」という表現を用いるのが一般的です。また、自らが反社会的勢力でないことにくわえ、「第三者を利用して不当要求を行わない」「反社会的勢力との関係を持たせない」など、行動面についても明記することも重要です。
虚偽の表明があった場合や確約に違反した場合の契約解除や損害賠償の根拠にもなるため、ほかの条項(解除や賠償)との連動性を意識して記載しましょう。
定義規定と表明・確約条項を含めた記載例は、以下のとおりです。
第〇条 甲及び乙は、それぞれ相手方に対し、次の各号の事項を確約します。
1,自らが、暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又はその構成員(以下総称して「反社会的勢力」という)ではないこと。
2,自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう)が反社会的勢力ではないこと。
3,反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この媒介契約を締結するものでないこと。
4,この媒介契約の有効期間内に、自ら又は第三者を利用して、次の行為をしないこと。
ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
イ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為
引用:警察庁 媒介契約書 モデル条項例
解除条項
解除条項として、相手方が反社会的勢力に該当する、または関与している事実が判明した場合に、契約を即時に解除できる旨を明記します。
反社会的勢力との関与が発覚した場合、通常の契約解除とは異なり、催告なしで解除できる無催告解除であることを記載するのが一般的です。無催告解除を指定すれば、重大なリスクが発覚した際に迅速に対応できます。
また、相手方による反社会的勢力との関与が疑われる段階でも「合理的な理由があるときは解除可能とする」といった文言を入れておくとよいでしょう。解除条項の記載例は以下のとおりです。
甲又は乙の一方について、この媒介契約の有効期間内に、次のいずれかに該当した場合には、その相手方は、何らの催告を要せずして、この媒介契約を解除することができます。
ア 前項1又は2の確約に反する申告をしたことが判明した場合
イ 前項3の確約に反し契約をしたことが判明した場合
ウ 前項4の確約に反する行為をした場合
引用:警察庁 媒介契約書 モデル条項例
損害賠償条項
反社会的勢力排除条項に違反した場合に、違反当事者が相手方に対して損害賠償責任を負う旨も明記しておきます。
直接的な損害にくわえ、間接的・付随的損害についても賠償対象にできます。たとえば、企業イメージの低下や取引停止、株価下落といった目に見えない損害も含めれば、相手方に対する抑止力につながります。
また、反社会的勢力との関係がもたらす損害の大きさは予測が困難なため、「特別損害についても請求可能」と明記してもよいでしょう。契約解除に伴う損害賠償責任の免除(解除する側に責任がない旨)もあわせて記載すれば、より強固な自社防衛につながります。以下の文章が、損害賠償条項の記載例です。
乙が前項の規定によりこの媒介契約を解除したときは、乙は、甲に対して、約定報酬額に相当する金額を違約金として請求することができます。(既に約定報酬の一部を受領している場合は、その額を除いた額。なお、この媒介に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を除きます。)
引用:警察庁 媒介契約書 モデル条項例
反社会的勢力排除条項のひな形|Wordで使用できるテンプレートを紹介
反社会的勢力排除条項を作成する際は、ひな形をコピーし、自社に適した内容へ書き変える方法がおすすめです。Wordで使用できる、反社会的勢力排除条項のひな形を紹介します。
反社会的勢力排除条項のひな形|Wordで使用できるテンプレートを紹介
契約書へ記載する条項のひな形
企業や個人と取り交わす、契約書に記載する反社会的勢力排除条項のひな型は以下のとおりです。Wordで契約書を作成する際に、コピーしてお使いください。
反社会的勢力の排除
第〇条 甲及び乙は、それぞれ相手方に対し、次の各号の事項を確約します。
1,自らが、暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又はその構成員(以下総称して
「反社会的勢力」という)ではないこと。
2,自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう)が反社会的勢力では
ないこと。
3,反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この媒介契約を締結するものでないこと。
4,この媒介契約の有効期間内に、自ら又は第三者を利用して、次の行為をしないこと。
ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
イ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為
2 甲又は乙の一方について、この媒介契約の有効期間内に、次のいずれかに該当した場合には、その相手方は、何らの催告を要せずして、この媒介契約を解除することができます。
ア 前項1又は2の確約に反する申告をしたことが判明した場合
イ 前項3の確約に反し契約をしたことが判明した場合
ウ 前項4の確約に反する行為をした場合
3 乙が前項の規定によりこの媒介契約を解除したときは、乙は、甲に対して、約定報酬額に相当する金額(既に約定報酬の一部を受領している場合は、その額を除いた額。なお、この媒介に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を除きます。)を違約金として請求することができます。
引用:警察庁 媒介契約書 モデル条項例
覚書を作成する際のひな形
覚書として作成する際は、以下のひな形をコピーしてWordなどで編集してください。
確約書
私は、次の1の各号のいずれかに該当し、若しくは2の各号のいずれかに該当する行為をし、又は1に基づく確約に関して虚偽の申告をしたことが判明した場合には、この契約が解除されても異議を申しません。また、これにより損害が生じた場合は、一切私の責任とします。
1,本件取引に際し、現在次の各号のいずれにも該当しないこと、かつ、将来にわたっても該当しないことを確約します。
ア 暴力団
イ 暴力団員
ウ 暴力団関係企業
エ 総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等
オ その他前各号に準ずる
2,自ら又は第三者を利用して次の各号に該当する行為を行わないことを確約します。
ア 暴力的な要求行為
イ 法的な責任を超えた不当な要求行為
ウ 取引に関して、脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為
エ 風説を流布し、偽計若しくは威力を用いて貴社の信用を毀損し、又は貴社の業務を妨害する行為
オ その他前各号に準ずる行為
令和 _______年 ________月 _______日
氏名 ____________________________ 印
引用:大阪府警察 一般的契約例
反社会的勢力排除条項のひな形を使用する際の注意点
インターネット上には、契約書や覚書の作成に利用できる「反社会的勢力排除条項のひな形」が多く公開されています。
しかし、ひな形をそのまま契約書に使用する際には注意が必要です。ひな形は一般的な例文であり、自社の業種・取引内容・契約目的に適した内容になっているとは限りません。業種によっては、特定のリスクに対応するために、より詳細な規定や表現が必要な場合もあります。
また、法律や条例の改正、最新の判例に対応していない古い形式のひな形には、法的な不備が見られる場合があります。なかには、契約解除や損害賠償に関する条項との整合性が取れていない場合もあるため、ほかの条項との関係をふまえ、全体の契約構成として適切かを確認することが大切です。
ひな形を使用する際は、社内の法務担当者や弁護士といった法律専門家による確認をおすすめします。形式的な体裁だけでなく、実効性のある契約書になっているかどうかが重要なポイントです。
反社条項が必要な契約書の種類
反社会的勢力排除条項は、継続的な取引契約や高額な契約、外部との協力関係を結ぶ契約において、特に必要性が高まります。反社条項を盛り込むべき契約書の種類について解説します。
ここで紹介する契約書は一例です。企業が取引や経営におけるリスクを回避するため、基本的にはすべての契約書への記載が推奨されます。
継続的な取引に関する契約書
継続的な取引とは、特定の相手と複数回にわたって行う取引を指します。以下のような継続的取引に関する契約書には、反社会的勢力排除条項を盛り込むことが推奨されます。
- 基本取引契約書
- フランチャイズ契約書
- 販売代理店契約書
- リース契約書・継続的賃貸契約書
継続的な取引を行う際の契約書に反社会的勢力排除条項が必要な理由は、一度契約が締結されると長期間にわたって関係が続くためです。取引関係を盾に、寄付金、賛助金、不当に高額な商品購入などを要求されたり、取引を通じて反社会的勢力に資金が流れることになり、結果的にその活動を助長したりする恐れがあります。
反社会的勢力と取引していることが判明した場合、企業の社会的信用が大きく損なわれ、ほかの取引先や金融機関との関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
契約締結に際しては、取引先様の情報について十分な確認を行うことが重要です。
金融取引に関する契約書
金融取引は、以下のような理由から、特に厳しい規制と社会的要請を受けています。
- 資金洗浄(マネーロンダリング)へ加担するリスクがあるため
- 金融機関や監督官庁からの信用が失墜するおそれがあるため
- 不当請求や契約トラブルへ備えるため
反社会的勢力の介入リスクの徹底的排除が求められており、おもに以下の契約書などでは、さまざまな理由やリスクから反社条項の記載が不可欠です。
契約書の種類 | 記載が必要な理由 |
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金銭消費貸借契約書 | 企業間または金融機関との貸付契約において、資金提供先が反社会的勢力であった場合のリスクを遮断するため。 |
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担保設定契約書 | 反社会的勢力に担保提供や債務保証をすると、不当な請求や担保行使の妨害などを受けるリスクがあるため。 |
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連帯保証契約書 | 反社会的勢力が保証人または被保証人となる場合のリスクを排除するため。 |
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投資契約・出資契約 | ファンドやベンチャー投資などにおいて反社会的勢力が関与すると、資金が犯罪目的に流用されるなど、重大な法令違反につながる恐れがあるため。 |
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金融取引における契約書を作成する際は、金融庁が公開している「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」も参考にしてください。
不動産取引に関する契約書
不動産取引は、高額かつ長期にわたる資産を扱う特性上、反社会的勢力の関与が判明した場合、企業としての社会的信用を著しく損ない、回復困難な損害を被る可能性があります。
また、反社会的勢力による不動産の不当利用は、近隣テナントや地域社会との関係悪化を招くおそれがあり、十分な注意が必要です。反社会的勢力排除条項を設けるべき不動産取引の契約書には以下があります。
契約書名 | 記載が必要な理由 |
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売買契約書 | 土地・建物の売買において、買主または売主が反社会的勢力であった場合、取引の無効化や解除権を使用するため。 |
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賃貸借契約書 | 反社会的勢力に物件を貸した場合、立ち退き交渉や明渡し訴訟がきわめて困難になるため。 |
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管理委託契約書 | 管理業務を担う会社や担当者が反社会的勢力と関係している場合、資金の不正流用や住民への不当関与のリスクがあるため。 |
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不動産業・警察暴力団等排除中央連絡会では、行政機関と不動産業界との連携強化、および不動産取引における反社会的勢力の排除を目的として「不動産取引における暴力団等反社会的勢力排除の5原則」が採択されました。
- 反社会的勢力を恐れない
- 反社会的勢力を利用しない
- 反社会的勢力に資金を提供しない
- 反社会的勢力と交際しない
- 反社会的勢力と取引しない
引用:一般社団法人 不動産協会 不動産取引における暴力団等反社会的勢力排除の5原則
不動産取引において、上記の5原則を遵守するための条項を契約書内へ記載すれば、反社によるリスク軽減につながります。
一般社団法人不動産協会では「不動産売買契約における反社会的勢力排除のための条項例」も公開しているため、そちらも参考にしてください。
M&A(企業の合併・買収)に関する契約書
M&Aは企業の支配権や資産・業務・人材を包括的に引き継ぐ取引であるため、対象の企業や関係者が反社会的勢力と関係していた場合、リスクも含めて買い手側に移転する恐れがあります。
反社条項の記載は、反社会的勢力が関与していないかを確認するデューデリジェンスの調査項目とあわせて、契約書への記載が必要です。反社会的勢力排除条項の記載を行うべきM&A関連の契約書には、以下のものがあります。
M&A関連の契約書で反社条項の記載漏れがあった場合、のちに重大な法的・経済的損害につながる可能性があります。契約書に記載する反社条項にデューデリジェンスの調査項目を設ける際は、以下のガイドラインを踏まえて記載してください。
(1) 譲り受け側に対する調査
仲介者(※1)・FA(※2) は、譲り受け側が、最終契約を履行し、対象事業を引き継ぐ意思・能力を有しているか確認する観点から譲り受け側に対する調査を実施することが求められる。詳細な調査の実施内容については、譲り受け側の財務状況及び事業実態の確認、譲り受け側(代表者、役員及び株主等の関係者を含む。)の反社会的勢力への該当性や過去に M&A に関するトラブルを生じさせたかといったコンプライアンス面での確認が想定され、これらの観点から適切に調査を実施することが求められる。
引用:中小企業庁 中小 M&A ガイドライン(第3版)-第三者への円滑な事業引継ぎに向けて-
※1. 仲介者:M&Aで双方の利益を調整しながら進める専門家を指す。
※2. FA(ファイナンシャル・アドバイザー):当事者の一方と契約し、企業の利益を最大化するための手助けをしてくれる専門家を指す。
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雇用・労働に関する契約書
企業として、信用とコンプライアンス体制の維持、内部からの情報漏えいリスクを防ぐ必要があります。しかし、雇用契約書自体に、継続的な取引や不動産取引同様に、詳細な反社会的勢力排除条項を入れるケースは多くありません。
そのため、採用時の誓約書や就業規則で、従業員が反社会的勢力でないことや、関係を持たないことを誓約・規定するのが一般的です。
契約締結前に行うべき反社チェックの方法
実際に反社チェックをする際には、どのような方法で調査すればよいのでしょうか。4つの確認方法を解説します。
インターネット調査
1つ目はインターネットでの調査です。取引先の正式名称や代表者名、役員名などにくわえて、以下のキーワードを組み合わせて検索します。
反社・暴力団・事件・逮捕・行政処分・訴訟・総会屋
だれでも手軽に実施できますが、情報の信頼性には判断が求められます。信頼性が高いニュースサイトや一次情報を確認しましょう。SNSや掲示板の情報は、信ぴょう性に欠けるため、注意が必要です。
インターネット調査はあくまで最初のスクリーニングの位置づけです。疑義がある場合もそれだけで判断はせず、専門機関による調査など、さらに詳しい確認に進みましょう。
商業登記簿・不動産登記簿の確認
商業登記簿とは、法務局が管理している法人(会社や法人組織)の登録情報を指し、架空の法人ではないことを確認するのに役立ちます。また不動産登記簿とは、土地・建物などの不動産に関する権利関係を記録した公的書類で、所有者や担保の有無などを確認できます。
それぞれの登記簿で確認すべき項目は、以下のとおりです。
種類 | 確認する内容 |
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商業登記簿 | 代表者氏名・役員構成・所在地・会社の設立目的・解散、清算、登記閉鎖などの記録 |
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不動産登記簿 | 会社の所在地・ビルの名義・差押、仮登記、仮差押の記録 |
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登記簿の情報は公的に認められたものであり、会社や不動産の実在性・信用性を裏付ける材料になります。登記内容に不審な点や頻繁な変更履歴が見受けられた場合は、より詳細な反社チェックや専門調査機関の利用を検討したほうがよいでしょう。
商業登記簿や不動産登記簿を確認するには法務局の窓口でも申請できますが、「登記情報提供サービス」を利用するほうが、時間や手間をかけずに入手できます。
反社チェックツール・データベースの利用
反社チェックツールとは、取引先や従業員が反社会的勢力と関係がないかを確認できるツールです。おもな反社チェックツールと反社データベース、および提供元には以下のものがあります。
これらのツールでは、新聞報道や訴訟記録といった反社会的勢力に関する情報がデータベース化されており、対象者の個人名や企業名と照合すれば、リスクの有無を調査できます。
ツールやデータベースの多くが有料ですが、信頼できる過去の情報にアクセスができるうえ、調査記録を保管できます。反社チェックを実施する機会が多い場合は、利用を検討してみてください。
ただし、ツールで名前がヒットしたからといって、必ずしも反社会的勢力と決まったわけではありません。過去の訴訟歴など中立的な情報も含まれるため、人の目による確認と判断が必要です。
専門調査会社への依頼
取引先の企業について慎重に調査を進めたい場合や、自社内で行った反社チェックで疑義がかかった場合、さらに詳しい調査が必要になるでしょう。そうした際は、専門調査会社やリスクコンサルティング会社などで、風評調査や関係者へのヒアリングといった詳細な調査を依頼できます。
専門調査会社には、以下のような企業があります。
専門調査会社へ依頼する際は、調査目的と、役員個人も調査対象に含めるかといった調査範囲を明確に伝えます。報告書の様式や納期、料金体系を確認したうえで依頼しましょう。
多くの専門調査会社では、実際に現地へ赴き、企業の従業員へインタビューしたうえで調査資料を作成してくれます。リスクの高い取引や重要な契約前には利用を検討してみてください。
契約書と反社会的勢力排除条項に関するよくある質問
取引先が反社チェックに該当した場合はどうしたらよい?
取引先が「反社チェック(反社会的勢力に関する調査)」に該当した場合は、以下のステップで対応を進めます。
- 情報の正確性を確認する
- 社内の関係部署と連携する
- 契約解除を検討する
- 記録の保全と再発防止に努める
反社チェックで「該当の可能性あり」と判断された場合、まずは情報の事実確認をします。信頼できる調査会社への依頼も検討しましょう。さらに社内の法務部やコンプライアンス部、経営陣などの関係者と情報を共有し、リスク評価と今後の対応方針を協議します。
反社排除条項にて催告なしに契約を解除できる旨が記載されていれば、速やかに解除手続きができます。
ただし、契約解除までの調査過程や判断経緯は、万一のトラブルや第三者からの問い合わせに備え、社内で記録として残しておきましょう。
企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針とは?
企業が反社会的勢力による被害を防止するための基本的な枠組みとして「暴力団資金源等総合対策ワーキングチーム」が「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(2007年6月公表)を策定しました。
すべての企業が共通してとるべき基本方針や対応策を示したもので、コンプライアンス活動の基礎とされています。
指針で定めている基本原則は、以下の5項目です。
- 組織全体としての対応
- 外部専門機関との連携
- 取引を含めた一切の関係遮断
- 有事における民事と刑事の法的対応
- 裏取引や資金提供の禁止
この指針は、企業が自社を守るだけでなく、社会全体から反社会的勢力を排除するという姿勢を示すためにも重要です。コンプライアンス体制や社内規程の整備における指針として活用してください。
契約書作成時には反社会的勢力への対策も忘れずに
契約書に記載する反社会的勢力排除条項は、企業が安心・安全な取引関係を構築し、法令遵守や社会的信頼を維持するために欠かせない規定です。インターネット上のひな形を活用する際は、自社にあった内容に調整し、現在の法律に即しているかを確認しましょう。
また、契約書締結時には、リスク回避・コンプライアンス遵守・業務効率化が実現できる電子契約の導入がおすすめです。
電子契約なら、『いつ』『誰が』『どの内容で』合意したかの証拠を残せます。反社会的勢力排除条項に関する合意の証明にもなり、トラブル時における証拠能力を高めます。マイナンバー認証など厳格な本人確認オプションを利用すれば、契約相手の同一性確認を強化でき、なりすましリスクも低減できるでしょう。
「GMOサイン」は、操作がわかりやすいことにくわえて、取引先への手間や費用負担もないため、導入しやすいことが特徴です。お試しフリープランでは、月に5通までの契約書を無料で作成・送信できます。安心して契約を取り交わすためにも、ぜひGMOサインでの電子契約をご検討ください。
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