脱印鑑のコツ

2020年12月11日

【独自インタビュー】脱ハンコをいち早く実現!福岡市役所のハンコレス完了の道のり

メイン画像出典:福岡市役所 公式サイト

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、外出や「三密」状態を避け、対面のやりとりや押印義務を見直す動きが加速しています。この様な背景から、「脱ハンコ」が官民ともに大きな注目を集める昨今、福岡市役所では、全国でもトップクラスの早さで「脱ハンコ完了」の宣言を出し、大きな話題となりました。

迅速な対応の秘訣や、成功までの道のりについて、担当者様にインタビューを行いました。

福岡市役所のご担当者様
右:福岡市総務企画局行政部総務課長 中川原 敬子(なかがわら けいこ)様
左:福岡市総務企画局ICT戦略室ICT戦略課長 小玉 豪人(こだま ひでと)様

―本日はインタビューを受けて頂き、誠にありがとうございます。今年9月に「ハンコレス化」完了宣言を出されましたが、いつ頃から、どのようにして押印廃止を進めていったのでしょうか?

中川原様(以下、中):
本格開始は平成31年1月ごろからです。きっかけは「市民の皆様から、区役所が混雑しており、待ち時間が長いとの声が届いており、この様な不便を改善したい」という市長からの声でした。

「ノンストップ行政」を掲げる福岡市としては、行政手続きにおける市民の皆様の利便性を高めるため、「原則押印廃止・オンライン化」の前提で、押印の見直しを進めました。
押印義務廃止にあたっては、まずは判断基準を策定し、各部署の担当と見直しを進めていきました。

―従来の紙申請のはんこ部分だけを廃止されたのでしょうか?もしくは、紙から電子化へ移行されたのですか?

中:現時点では、紙の様式は基本的にそのままで、押印欄を消去するか、押印欄は残したまま、欄外に「自署の場合は押印不要」などの注記を加えるといった方法で対応しています。

―押印義務をなくすことで、どのくらい業務効率化が出来ましたか?

中:押印チェックの業務が無くなりました。氏名や住所などの記入漏れがないかチェックする必要はあるので、書類のチェック業務自体は変わらず存在していますが、市民の方が窓口で印鑑を忘れてしまっても再度お越しいただく手間を無くしたり、郵送でお手続きいただいた場合に、押印漏れにより再度送付をお願いしたりするといった手間は改善できたと思います。

―どのような手順で押印廃止を進められましたか?廃止対象の選定基準や進め方などを教えてください。

中: まずは総務課にて、押印廃止ができるもの、できないものを判別するための基準を策定しました。
現時点で廃止が難しいものを主に次の3つとし、これに該当するもの以外は、原則押印義務を廃止する方向で調整を進めました。

<現時点で押印廃止が難しいもの>
・国や県の法令で義務づけられているもの
・印鑑証明書の提出を求めているもの
・市を通じて提出する第三者から押印を求められているもの(金融機関など相手先が押印を必要としているもの)

見直し対象の洗い出しは最初の2ヶ月ほどをかけて取り組み、できるところから順次、担当部署と見直しを進めていきました。
中には複数部署にまたがって使用されている書類もあり、そうしたものはより慎重に調整を行いました。

業務の中には、対面で行わなければならないと明文化されてはいないものの、解釈上そうなっているものが多くあります。現在、脱ハンコについては国でも見直しが検討されており、今後さらに対面や押印が不要となるものは増えていくのではと思います。

―押印廃止にあたって発生した課題や、その解決対応などについて詳細をお伺いできますと幸いです。

中:職員の中にも、長年の経験から「印鑑を求めるのが当然」と考える方もいて、最初は職員の一部からも戸惑いの声もありました。これまでの「当然」という認識を変えるべく、丁寧に説明を重ねていきました。
ハンコレス実施後、今のところ特に問題は起きていません。

―脱ハンコ後も問題なく運用できているのですね。市民から郵送で届く各種申請について、紙書類から電子化へ移行する予定はありますか?

小:例えば,今回押印を見直しした高齢者乗車券(満70歳以上を対象に交通費の一部を助成する制度)は、令和2年から,郵送とオンラインの両方で受付を行なっています。

これまでは対面で交付していましたが、コロナ禍で3つの密を避ける観点から従来の対面方式を見直し、郵送もしくはオンラインによる申請を可能とするように切り替え、窓口の混雑を低減しました。郵送だけでなく、オンラインでの申し込みも少なくありません。

その他の申請についても、オンライン化を進めており,ハンコレスの完了を踏まえ,一層加速させていきます。
職員向けには既にRPAを導入し、申請以外にも、様々な面で業務の効率化を進めています。

―オンライン化した申請の中で、反響や効果が特に高かったものはありますか?

小:オンライン化の効果が高かった手続きとしては、「教員採用試験」が挙げられます。これまでは郵送でしたが、令和元年にオンライン受付を開始した後では、申請者の9割以上がオンラインで申し込みをしています。

―申請者の利便性も大きく向上した結果、オンライン申し込みが9割にまで増えたのでしょうね。オンラインの本人確認はどのようにされていますか?

小:IDやPWなどにより本人確認を実施しています。先ほどの高齢者乗車券の場合は、介護保険証の被保険者番号で本人確認を行なっています。児童手当の現況届等,国のオンライン申請サービス(ぴったりサービス)で行う手続きは,マイナンバーカードによる本人確認を行っています。

―マイナンバーカードの普及状況はいかがですか?

小:マイナンバーカードの普及率は全国20%前後で、福岡市の普及率も同様です。多くの方々にカードを取ってもらうだけでなく、カードの利用によって市民の皆様の利便性が大きく向上することが一番重要だと考えています。

―ハンコレスを実施した結果、市の反響はいかがでしたか?

中:市民の皆様からは、便利になったとの声をたくさん頂いています。「窓口で印鑑を忘れても、今までの様に自宅に取りに帰る、日を改めて窓口を再訪するなどの手間が無くなった」と好評です。

―今後の目標(最終的なゴール)は、どの様に考えていらっしゃいますか?

小:福岡市の掲げる「ノンストップ行政」の実現です。今後もさらに利便性を高め、市民の皆様がご自宅から区役所へお越しになることなく,オンラインで完結できることを目指していきます。

―素晴らしい取り組みだと思います。今後、さらに「ノンストップ行政」を進めていく上では、何が必要と考えていますか?

小:市民の皆様が使いやすいUIの実装が必要だと考えています。福岡市では現在、市のスタッフとともに,オンライン手続きのUIの改善など,DXに関するプロジェクトに参画する民間専門人材の「DXデザイナー」の募集を開始しました。兼業可能,テレワーク可能です。使いやすいサービスの実現に向けて、民間からのクリエイティブな発想もいただきつつ,オンライン化を加速してまいります。

▼DXデザイナー募集|福岡市公式サイト(2020年11月16日時点)
https://www.city.fukuoka.lg.jp/soki/joho/shisei/bosyu/dx_designer.html


本日はありがとうございました!
率先してDX化を進める福岡市役所の皆様の更なる挑戦を、心より応援しております。

※掲載している内容、ご所属・ご役職等は取材当時(2020年11月17日時点)のものです。

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ハンコ脱出作戦 編集部

筆者

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