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欠勤や遅刻などの問題行動が多い社員を減給にするケースは多くの企業で見られます。
しかし、減給は違法となる可能性があり、かんたんにできるものではないため、注意が必要です。
減給処分から訴訟となり、企業側が敗訴するケースもあります。まずは、減給についてしっかりとした知識を持っておくことが必須と考えましょう。
本記事では、減給の違法性をはじめ、減給の上限や問題社員を減給するまでの手順を解説します。
減給とは、懲戒処分の一種です。企業は秩序を維持するために、従業員に対する懲戒権が認められています。
とはいえ、懲戒処分は従業員に大きな不利益を与えるものであるため、無制限で認められるわけではありません。
具体的には、労働基準法第89条9号により、従業員10名以上の事業所が懲戒制度を設ける場合は就業規則にその内容を明記することが必要です。また、労働契約法第15条では、懲戒処分が無効になる場合があることが記されています。
(作成及び届出の義務)
引用元:労働基準法|e-Gov 法令検索
第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
二 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
三 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
四 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
五 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
六 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
(懲戒)
引用元:労働契約法|e-Gov 法令検索
第十五条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
懲戒処分には、処罰が軽い順に以下7つの処分があります。
・戒告
・譴責
・減給
・出勤停止
・降格
・諭旨解雇
・懲戒解雇
これらの懲戒処分は、従業員の問題行動の重大さに応じて就業規則と照らしあわせ、バランスを考慮して決定されます。
まずはじめに、仕事のペナルティとして罰則を設けることの違法性について解説します。
仕事のペナルティとして従業員へ罰金を課す契約は違法です。
労働基準法第16条では、以下のとおり定められています。
(賠償予定の禁止)
引用元:労働基準法|e-Gov 法令検索
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
労働基準法第16条は、賠償予定の禁止を定めたもので、従業員との契約において罰金を課すことを禁止しています。
たとえば、遅刻1回につき5,000円の罰金を科すなどの文言を就業規則へ記載することなどは禁止行為となります。もちろん、就業規則に記載のない罰金も違法です。
いずれにしても、従業員からペナルティとして罰金を徴収する行為は違法となります。
従業員への減給は、場合によって違法となります。労働契約法第8条では、給料を含む労働条件を労働者の合意なしに変更することは許されません。労働契約法第8条には、以下のとおり定められています。
(労働契約の内容の変更)
引用元:労働契約法|e-Gov 法令検索
第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。
契約当事者の会社が一方的に従業員へ仕事のペナルティとして減給することは違法となります。一方で、以下の場合には減給が認められる可能性があります。
・従業員から同意を得た場合
・就業規則の変更
・労働協約による労働条件の変更
・能力が役職に伴わないことを理由とした降格や減給の場合
・懲戒処分として減給を行う場合
なお、上記に該当する場合でも全ての減給が認められるわけではありません。
基本的に減給には違法性がつきまといます。減給するには、合理性が求められるほか、従業員に十分に周知させるなどの配慮が必要です。
仕事のペナルティとして、従業員に損害賠償を請求することは可能です。しかし、従業員への損害賠償が認められるためには一定の条件を満たさなければいけません。
仕事のミスで従業員に損害賠償請求をする際は、以下の2つがポイントとなります。
・民法に定められた債務不履行または不法行為に当たる場合
・会社以外の第三者に損害を与える場合
債務不履行は民法第415条、不法行為は民法第709条に規定されています。それぞれの条文は以下のとおりです。
(債務不履行による損害賠償)
引用元:民法|e-Gov 法令検索
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
(不法行為による損害賠償)
引用元:民法|e-Gov 法令検索
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
なお、従業員に過失があったとしても、それが故意や重大な過失とまでいえないときには損害賠償の請求が棄却されるケースは多くあります。
また、損害賠償が認められたとしても、民法第1条2項の信義則によって、全額を賠償させることは稀です。
注意点としては、損害賠償を給与と相殺してしまうと、労働基準法第24条1項の違反となることです。
労働基準法第24条1項には以下のとおり定められています。
(賃金の支払)
引用元:労働基準法|e-Gov 法令検索
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
賃金は従業員の生活を支える貴重な財源であるため、全額を支給するのが原則です。したがって、給与から損害賠償額を天引きする行為は違法と解釈されています。
引用元:1.制裁の制限|厚生労働省
減給の上限額と期間は、労働基準法第91条によって定められています。具体的には、以下のとおりです。
・減給は平均賃金の1日分の半額以下に留める
・減給は賃金総額の10分の1を超えてはならない
・長期間にわたっての減給は認められない
(作成の手続)
引用元:労働基準法|e-Gov 法令検索
第九十条 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
たとえば、月給が30万円の従業員を減給処分とする場合、平均賃金は1日10,000円となり、その半額である5,000円を超える減給はできません。また、減給の限度額は30万円の10分の1である3万円が上限となります。
労働基準法第91条には、減給の期間が定められているわけではありませんが、限度額を超えるような長期間に渡る減給は認められないと考えられるでしょう。
平均賃金とは原則、減給される月の直近の賃金支払日から過去3カ月間の合計賃金の平均のことを指します。なお、賞与などの臨時的な報酬は含みません。
減給が労働基準法違反となった場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が、使用者に科せられます。
使用者とは、事業主や経営担当者などのことを指し、企業でいえば役員や取締役などの経営陣のほか、業務権限を持つ部長や課長のことです。違反した場合の罰則については、労働基準法第119条に明記されています。
第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
引用元:労働基準法|e-Gov 法令検索
一 第三条、第四条、第七条、第十六条、第十七条、第十八条第一項、第十九条、第二十条、第二十二条第四項、第三十二条、第三十四条、第三十五条、第三十六条第六項、第三十七条、第三十九条(第七項を除く。)、第六十一条、第六十二条、第六十四条の三から第六十七条まで、第七十二条、第七十五条から第七十七条まで、第七十九条、第八十条、第九十四条第二項、第九十六条又は第百四条第二項の規定に違反した者
二 第三十三条第二項、第九十六条の二第二項又は第九十六条の三第一項の規定による命令に違反した者
三 第四十条の規定に基づいて発する厚生労働省令に違反した者
四 第七十条の規定に基づいて発する厚生労働省令(第六十二条又は第六十四条の三の規定に係る部分に限る。)に違反した者
具体的には、以下のような場合に罰則が科せられる恐れがあります。
・労働契約に違約金が定められている場合
・罰金や損害賠償などを賃金と相殺する場合
ここからは、実際に仕事のペナルティとして罰金を課すケースについて詳しくみていきましょう。
就業規則への違反や問題行動によって減給の処分が下されるケースがあります。たとえば、以下のケースが該当します。
・外出先での勤務怠慢
・社外秘の情報を外部へ漏洩させる行為
・ハラスメント行為
仕事においてこのような行動が見られる場合には、懲戒処分として減給するケースもあります。しかし、懲戒処分として減給を行う場合には、就業規則へ減給の条件を記載しておくことが必須です。
なお、問題行動のある場合においても、減給処分がペナルティとして重すぎると判断され、無効となる可能性もあります。
無断欠勤が度重なる場合にも罰則として減給が行われることがあります。無断欠勤による減給が認められるケースは、以下2パターンです。
・就業規則に記載がある場合
・指導しても改善が見られない場合
企業は従業員が何らかの理由で仕事をしなかった場合には、その分の給与は支払う義務がないという考えのもとで、「欠勤控除」が適用されるケースもあります。この場合は減給ではありませんが、実質支払う賃金が減ることになります。こちらも、就業規則への明記は必須です。
就業規則への違反やハラスメントなどの問題行動がない場合でも、業務に対するスキル不足を理由に実質的に減給となるケースがあります。
具体的には、人事評価や人事異動をとおして役職が下がったり、等級が下がることで給与が減少します。仕事ができないことをペナルティとした減給は認められないため、代わりの手段として用いることはできるでしょう。
人事評価による減給の場合、賃金と職務内容が連動していることが前提です。一方で、技能や資格試験によって給与が決まる場合には、一度取得した技術や資格の喪失は想定していないため、降格による減給はより厳格な正当性が求められます。
景気衰退や業績不振によって、会社都合で減給を行うケースもあります。企業としては、倒産を回避するためにリストラや賞与カット、給与の減額を行うことも選択肢のひとつです。
しかし、この場合には、従業員への理解が求められます。会社の状況を財務諸表などを活用して丁寧に説明をすることが必要です。
実際に仕事でミスや問題行動が多い従業員にペナルティを課す場合、いきなり減給とすることはできません。
ここからは、ペナルティとして減給を行う流れについて解説していきます。
減給をする場合の大前提として、まずは就業規則の整備が必須です。具体的には、就業規則に以下の2点を明記しましょう。
・懲戒処分として減給が可能であること
・減給の対象となる具体的な行為
減給の対象となる具体的な行為を明記することで、該当する場合に減給を行うことが可能となります。具体的な記載方法は、厚生労働省の「モデル就業規則」を参考にして作成していくのがいいでしょう。
(懲戒の種類)
第67条 会社は、労働者が次条のいずれかに該当する場合は、その情状に応じ、次の 区分により懲戒を行う。
① けん責
始末書を提出させて将来を戒める。② 減給
始末書を提出させて減給する。ただし、減給は1回の額が平均賃金の1日分の5 割を超えることはなく、また、総額が1賃金支払期における賃金総額の1割を超え ることはない。③ 出勤停止
始末書を提出させるほか、 日間を限度として出勤を停止し、その間の賃金は 支給しない。④ 懲戒解雇
引用元:モデル就業規則|厚生労働省
予告期間を設けることなく即時に解雇する。この場合において、所轄の労働基準 監督署長の認定を受けたときは、解雇予告手当(平均賃金の30日分)を支給しな い。
仕事のペナルティとして減給を選択する場合、問題行動の事実確認が大切です。事実確認には客観的事実が必要となります。
特定の従業員の証言だけで減給はできません。仕事の問題行動については、誰がみても明白な証拠を提示することが求められます。セクハラやパワハラの場合には被害者のみならず、周囲の従業員に対しても聞き取りが必須です。
また、ハラスメントの現場を録音するのも有効です。減給は従業員の生活の糧である給与を減らされる処罰であり、ペナルティとしては非常に重いため、事実確認がとても重要となります。
万が一裁判で争うことになった場合、減給となった行為の事実を証明できなければ、減給処分は無効とされる恐れがあります。
事実確認と同時並行で進めていきたいのが、現場での注意と指導です。
ポイントは、後から呼び出して指導するのではなく、問題行動があった現場で注意と指導をすることです。
また、注意や指導を行ったあとには、書面に日付と指導内容を記載して対象者と共有し、履歴を残しておくことが必要です。また、その際印鑑やサインをもらっておきましょう。
日々の指導でも問題行動が改善されない場合には、指導書などの書類の作成も検討しましょう。指導書には、これまでの注意指導の履歴を記載するほか、就業規則のどこに違反しているかも記載することで、のちに減給処分となった場合に、その理由が明確になります。
減給を行うには、本人に弁明の機会を与える必要があります。必ずしも面談とは限らず、期限を設けて書面にて提出させることもあります。
弁明の機会を設けずに一方的に減給を行った場合には、減給が無効とされる可能性があるため、注意が必要です。
なお、弁明の機会を面談とする場合には、証拠を残すために、同意のもとで必ず録音をしましょう。
これまでの行動や弁明を踏まえ、最終的にペナルティとして減給を行うかを決めます。このとき、とくに以下のポイントに注意して最終的な決定を下しましょう。
・問題行動の裏付けとなる証拠は十分か
・減給は当該問題行動の処罰として適切か
従業員にペナルティを与える際、問題行動の証拠は必要です。また、問題行動が明らかな場合であっても、減給処分が適切かどうかはしっかりとした検討が必要です。
減給処分は懲戒処分のなかでも重い処罰となるため、相応の問題行動でなければなりません。たとえば、数回の遅刻や勤務怠慢によって減給とするには処分が重すぎると考えられ、無効となる可能性があります。
今回は、減給について解説しました。懲戒処分のひとつである減給は、従業員の生活に直接影響を与えます。
仕事を真面目にしない従業員がいる場合、企業としては何かしらの処分が必要となりますが、勝手に給与を減額することは許されません。また、減給以外の人事評価などで結果的に給与が減る場合にも、労働者を保護する法律が存在します。
仕事のペナルティとして減給を行う際は手順や法律をしっかりと守り、十分に注意して行いましょう。
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