ホームページ制作の契約書には何を記載すればいいのだろう? 制作範囲や納品物の解釈でクライアントとトラブルになりたくない。 契約書のひな形はどこで手に入る?
この記事では、ホームページ制作業務委託契約書に必要な重要項目と作成方法をご紹介 します。「ホームページ制作及び保守業務委託契約書」のテンプレートも紹介するので、参考にしてください。
ホームページ制作に関する契約では、以下のようなトラブルが起こりやすいため、正しい内容の契約書の作成が必須です。
トラブル事例
仕様・作業範囲の認識の違いによる追加請求
あいまいな納期設定によるクライアントとの関係性悪化
納品物の著作権に関するトラブル
支払い遅延・未払い
業務着手後の一方的なキャンセル
また、ホームページ制作契約書には、収入印紙が必要なケースがあります。正しい金額による収入印紙の貼り付けが必要になるためご注意ください。
ただし、電子契約であれば課税文書の対象外となるため、収入印紙が不要 です。コストを抑えたい方は電子契約での取り交わしをご検討ください。
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目次
ホームページ制作における契約書の種類と重要性
ホームページ制作においては、しっかりとした契約書の作成がスムーズなプロジェクト進行に欠かせません。契約書は単なる形式的な書類ではなく、お互いの権利義務をはっきりさせ、認識の違いを防ぐ大切な手段となります。
この章では、ホームページ制作に必要な契約書の種類とその大切さについて説明します。
ホームページ制作で必要な契約書
ホームページ制作では、おもに以下の4種類の契約書が必要です。
契約書の種類 内容 特徴 基本契約 長期的な取引関係における基本ルールを定める ・包括的な権利義務を規定 ・共通ルールを一括で定義 個別契約 個々のプロジェクトの具体的内容や条件を定める ・制作委託契約や請負契約など ・具体的な納品物や納期を規定 保守契約 サイト公開後の更新やメンテナンスに関する取り決め ・責任範囲や費用を明確化 ・対応時間や頻度を規定 秘密保持契約(NDA) 機密情報の取り扱いを規定 ・企業情報や個人情報の保護 ・漏えい時の責任を明確化
上記の契約書は個別に作成することもできますが、項目を統合して一つの契約書にまとめることも可能 です。
たとえば、基本契約に秘密保持条項を入れたり、制作と保守を一つの契約書にまとめたりする方法もあります。契約内容が複雑になりすぎない範囲で、プロジェクトの規模や関係性に応じた契約書の組み合わせを選ぶとよいでしょう。
ホームページ制作に関する契約類型
ホームページ制作における「業務委託契約」は、「準委任契約」と「請負契約」の2つの類型に分かれます。それぞれの特徴と違いを理解し、プロジェクトにあった契約形態を選択しましょう。
契約類型 特徴 おもな記載事項 適したケース 準委任契約 ・業務遂行そのものを委託 ・成果物の完成義務なし ・指揮命令関係あり ・業務内容と範囲 ・契約期間 ・作業時間と場所 ・報酬の支払い方法 ・再委託の可否 ・継続的な運用保守 ・ディレクション業務 ・要件が流動的に変化する 請負契約 ・成果物の完成を目的 ・検収・承認プロセス重視 ・品質と納期について責任を負う ・納品物の明確な仕様 ・納期 ・検収条件と期間 ・著作権譲渡 ・遅延損害金・契約解除 ・新規サイト制作 ・仕様が確定している ・継続性がなく一度限り
契約類型の選択は、プロジェクトの性質や求める成果、関係性によって変わります 。たとえば、仕様が明確で完成イメージがはっきりしている場合は請負契約がよいでしょう。一方、運用保守のような継続的な業務には業務委託契約が向いています。
ホームページ制作契約書で生じるリスクとトラブル事例
ホームページ制作において契約書が重要な理由は、さまざまなリスクやトラブルを防ぐためです。契約書がない、または契約書の内容が不十分な場合、どのようなトラブルが実際に起きているのでしょうか。ここでは、ホームページ制作で起こりうるトラブル事例について解説します。
事例1:仕様・作業範囲の認識齟齬による追加請求
仕様や作業範囲が明確でない契約を行うと、クライアントとの間でトラブルが生じる可能性があります。たとえば「よくある機能」や「一般的な作業」といった漠然とした表現では、作業範囲への理解が食い違います 。
企業向けホームページ制作で「必要な機能一式」という条件で契約を結んだケースを想定してみましょう。クライアントは問い合わせフォームやSSL証明書の設定も含まれると認識し、制作者は基本的なページ作成のみと解釈していたらどうでしょうか。このような認識の相違により、必須機能の実装が追加料金の対象となり、予算超過といったトラブルにつながる恐れがあります。
契約段階では、作成ページ数・実装機能・セキュリティ対策などの詳細を確認し、作業に含まれるものと含まれないものを明確に規定することが不可欠です。
事例2:あいまいな納期設定による取引先との関係悪化
納期設定があいまいなままホームページ制作を進めると、クライアントとの関係が悪化することがあります。「できるだけ早く」や「〇月頃」といった表現では、お互いの期待値にずれが生じる ためです。
たとえば、企業のサイト制作で「夏頃までに」という漠然とした納期設定をしたケースを考えてみてください。クライアントは7月初旬を想定していたのに対し、制作者は8月中旬と認識する可能性があります。結果、夏のキャンペーンに間に合わず、売上機会を損失してしまうという事態になりかねません。
「〇年〇月〇日までに納品」といった具体的な納期だけでなく、中間成果物の提出日や確認期間、修正回数なども明確に定めておくことが大切です。
事例3:納品物の著作権に関するトラブル
ホームページ制作では著作権の帰属が明確でないと、後々トラブルになることがあります。特に納品後の改変や更新で問題が生じるケースが多く見られます 。
著作権について何も記載がないまま、完成後にクライアントがデザインの一部を変更すると、制作者から「著作権侵害」として追加料金を請求される可能性があるため、注意が必要です。
一般的に、著作権は依頼主ではなく制作者に帰属します。著作権トラブルを回避するには、「著作権の帰属先」「利用範囲」「改変権の有無」を契約書にはっきり書いておくことが必須です。
事例4:支払い遅延・未払い
契約を行う場面では、知人から口約束で依頼されるケースも多いでしょう。ここでも支払いについて明確に定めておかないとトラブルに発展してしまいます。
クライアントが知人や医師、企業役員といった信用できる人物だからといって口約束で契約してしまうと、いつまで経っても制作費用が支払われないなどのトラブルに発展する可能性がある のです。
契約書がない場合、「いくらの報酬で」「どんな条件で」制作を依頼されたのかを証明することが困難で、自分に有利な主張を立証することが難しくなります。
どんな相手であっても必ず契約書を交わし、「報酬金額」「支払期日」「支払方法」などを明確に記載することが大切です。
事例5:業務着手後の一方的なキャンセル
ホームページ制作で最も厄介なトラブルは、クライアントによる突然の制作中止です。契約成立後、作業が進行中であるにもかかわらず、クライアントが「やはり不要になった」として一方的にキャンセルを申し入れるケースが考えられます。
キャンセル時のルールを契約書に書いていないと、「納品していないから支払う必要はない」と言われる恐れがあります。その結果、すでにかけた労力や時間の分の報酬がもらえなくなるリスクがあります。
一方的なキャンセルによるトラブルを防ぐためには、契約書に「中途解約の可否」「解約時の精算方法」「すでに発生した費用の扱い」などを明記しておくことが必要です。
ホームページ制作契約書に記載すべき必須項目
前章で見てきたトラブル事例を防ぐためには、契約書に必要な項目をしっかりと記載することが大切です。
ホームページ制作の契約書には、契約の有効性を担保するために、必要な法的要件を適切に盛り込む必要があります。ここでは、ホームページ制作契約書に記載すべき15の必須項目について解説します。
契約当事者の明確化
契約当事者を明確にすることは、契約書の基本です。法人の場合は正式な法人名、所在地、代表者名を、個人の場合は氏名、住所を記載します。
また、クライアントと制作者の担当者名とその権限も明記すると安心 です。契約の当事者が誰なのかを法的に明確にでき、後々「契約した覚えがない」などのトラブルを防げます。
業務範囲・仕様(スコープ)
業務範囲・仕様(スコープ)の明確化は、「認識の違いによる追加請求トラブル」を防ぐための大切な項目です。ホームページ制作では「何が含まれていて、何が含まれていないのか」を具体的に記載することが必須です。
ホームページ制作における業務範囲・仕様として明記すべき内容には、以下のようなものがあります。
制作するページ数とその内容
レスポンシブ対応の有無
対応ブラウザの種類とバージョン
SSLの導入有無
お問い合わせフォームの機能
SEO施策の範囲
アクセス解析の設定
保守契約の有無
具体的かつ詳細に記載することで、後から「これも含まれると思っていた」といった認識の違いを防げます。また、含まれない作業も明記するとよいでしょう。
納品物(成果物)の定義
納品物(成果物)を具体的に定義することは、「何を納品すれば契約が完了するのか」 を明確にするために大切です。あいまいな定義は、納品時のトラブルや追加要求の原因となります。
ホームページ制作における納品物としては、完成したWebサイト本体だけでなく、以下のような要素も含めて明記するとよいでしょう。
HTMLファイル、CSSファイル、画像ファイルなどのデータ一式
ソースコード(WordPressなどのCMS利用の場合はテーマファイルなど)
サイトマップや設計書
操作マニュアル
デザインデータ(PhotoshopやIllustratorのファイルなど)
使用した素材の利用権
バックアップデータ
納品形式(CD-Rやオンラインストレージなど)や納品方法(手渡しか郵送か)、納品場所も記載すると、認識の違いによるトラブルを防げます。
制作スケジュール・納期
制作スケジュールと納期の明確化は、「あいまいな納期設定による関係性悪化」を防ぐために大切です。最終納期だけでなく、各工程の期限も含めた具体的なスケジュールを設定しましょう。
ホームページ制作のスケジュールでは、「デザイン案提出日」や「コーディング完了日」など、おもな工程ごとに日程を明記することが推奨 されます。最終納期だけでなく中間成果物の提出日を設けることで、進捗状況を把握しやすくなります。
契約金額と支払条件(時期、方法)
契約金額と支払条件を明確に規定することは、「支払い遅延・未払いのトラブル」を防ぐために欠かせません。金額だけでなく、支払いのタイミングや方法も具体的に記載することが大切です。
契約金額については、総額だけでなく、内訳(デザイン費、コーディング費、素材費など)も記載するとよいでしょう。また、消費税の取り扱いを明記することも重要です。
支払条件としては、「着手金(契約時)30%、中間金(デザイン確定時)30%、残金(納品時)40%」のような分割払いの条件や、「納品後14日以内に銀行振込」などの支払い方法と期限を具体的に定めます。
仕様変更・追加作業のルール
仕様変更や追加作業のルールを明確にすると、追加請求のトラブル防止につながります。ホームページ制作では途中で変更要望が生じるのが一般的 なため、対応ルールを事前に決めておきましょう。
契約書には、変更・追加の「依頼方法」「費用算定方法」「納期への影響」を記載します。たとえば「変更依頼はメールで行い、見積り承認後に着手する」などの基本的な流れを定めておいてください。
無料対応の範囲(テキスト修正は3回まで無料など)と追加料金が発生する基準を明らかにしておくことで、「これくらいは無料だと思っていた」というトラブルを防げます。
著作権・知的財産権の帰属
ホームページ制作では、デザイン、コード、画像など多くの創作物が生まれるため、権利関係を契約書で明確にする必要があります。契約書には、以下の点を明記しましょう。
著作権の帰属先(クライアントか制作者か)
著作権譲渡の範囲(全部か一部か)
著作者人格権の不行使特約の有無
二次利用や改変の権利
一般的には、クライアントが自由にサイトを運用・改変できるよう、著作権をクライアントに譲渡するケースが多くみられます。
検収(検査と合格)の基準と期間
検収の基準と期間を明確に定めることは、納品後のトラブルを防ぐために欠かせません。「いつまでに、どんな基準で確認し、どう合格とするか」を具体的に決めておきましょう。
契約書には「検収期間(納品後7営業日以内など)」「検収方法」「合格基準」を記載します。検収期間を設けないと後から修正指示があっても対応が難しく、逆に無期限だと完了しない状態が続きます。検収期間と明確な合格基準を設ければ、お互いが納得して契約を完了できます。
契約不適合責任(瑕疵担保責任)
契約不適合責任(旧民法での瑕疵担保責任)とは、納品されたホームページに不具合や契約内容との食い違いがあった場合の責任範囲を定めるものです。契約書には、以下のような内容を記載します。
責任期間(検収後6カ月間など)
対応範囲(バグ修正など)
対応方法(無償修補など)
免責事項
納品後に「ここが動かない」といったトラブルはよく起こるため、この項目は大切です。責任期間が無期限だと制作者の負担が大きくなり、短すぎるとクライアントが不利になります。お互いにとって納得できる責任範囲と期間を設定することで、公平な契約となります。
機密保持義務(秘密保持)
機密保持義務(秘密保持)の条項は、ホームページ制作中に知り得た情報の漏えいリスクを低減するために大切です。企業のホームページ制作では、未公開の事業計画や顧客情報などの機密情報を取り扱うことがあります。契約書には以下の内容を明記します。
機密情報とは、クライアントから秘密であると明示された情報や、一般に公開されていない内部情報なども含みます。どの情報が機密情報にあたるか確認することが大切です。また、義務の存続期間は契約終了後も一定期間(1~3年程度)続くことが一般的です。
サーバー情報・ドメイン情報の取り扱い
サーバー情報やドメイン情報は、ホームページを長く使い続けるために管理が必要です。契約が終わったり制作者を変更したりするとき、これらの情報がないとサイトの移行や更新ができなくなります。
契約書には「サーバーアカウントの管理者」「ドメイン所有者」「契約終了時の引き継ぎ方法」を記載します。基本的にはサーバーやドメインはお客さま名義で取得 し、制作者は管理を手伝う形がよいでしょう。
解除・解約条項
解除・解約条項は、「業務着手後の一方的なキャンセル」のようなトラブルを防ぐために大切です。契約を途中で終了させる場合のルールを明確にしておくことで、お互いにとって公平な形で契約を終了できます 。契約書には、以下のような内容を記載します。
解約の申し入れ方法
解約の通知期間
解約時の精算方法
違約金の有無
たとえば「解約希望日の1カ月前までに書面で通知すること」「着手済み作業の対価は支払うこと」などの条件を定めておきます。また、どのような場合に契約を解除できるか(相手の重大な契約違反、破産など)も明記しておくと安心でしょう。
不可抗力
不可抗力とは、地震や感染症の流行など、当事者がコントロールできない予測不能な事態を指します。このような事態への対応ルールを契約書に記載しておきましょう。基本的には「不可抗力により納期が遅れる場合は責任を負わない」という免責事項を設けるのが一般的です。
損害賠償
損害賠償条項は、契約違反やトラブル発生時の責任範囲と金銭的な上限を定めるものです。過大な賠償リスクを避けるために大切な項目です。契約書には「賠償の対象となる損害」「賠償額の上限(契約金額を上限とするなど)」を記載します。
具体的な対象としては、以下の事例が挙げられます。
また、「制作金額の50%まで」など、上限設定を決めることにより、お互いが安心して契約を結べます。
管轄裁判所・準拠法
管轄裁判所と準拠法の条項は、紛争が発生した場合の手続きを明確にするためのものです。どこの裁判所で、どの法律に基づいて解決するかを事前に定めておきます。契約書には「管轄裁判所(〇〇地方裁判所など)」と「準拠法(適用される法律など)」を記載します。
「ホームページ制作及び保守業務委託契約書」のテンプレート(雛形)
前章までで解説した項目を盛り込んだ「ホームページ制作及び保守業務委託契約書のテンプレート」をご紹介します。必要に応じて自社のプロジェクトにあわせて調整して利用してください。
ホームページ制作及び保守業務委託契約書
発注者〇〇〇〇(以下「甲」という)と受注者△△△△(以下「乙」という)とは、ホームページの制作及び保守に関する業務委託契約を以下のとおり締結する。
第1条(目的) 本契約は、甲が乙にホームページの制作及び保守業務を委託するにあたり、甲乙間の権利義務関係を明確にすることを目的とする。
第2条(委託業務の内容)
甲は乙に対し、以下の業務(以下「本業務」という)を委託し、乙はこれを受託する。 (1) ホームページ制作業務 ① デザイン制作 ② HTML/CSSコーディング ③ コンテンツ実装 ④ 各種機能実装 (2) ホームページ保守業務 ① サーバー監視 ② セキュリティ対策 ③ バックアップ ④ 軽微な更新作業
本業務の詳細は別紙「業務仕様書」に定めるとおりとする。
第3条(制作物の仕様)
制作するホームページの仕様は以下のとおりとする。 (1) ページ構成:トップページ、会社概要、サービス紹介、お問い合わせ等、合計〇〇ページ (2) レスポンシブ対応:あり(スマートフォン、タブレット対応) (3) 対応ブラウザ:Internet Explorer 11以上、Microsoft Edge最新版、Google Chrome最新版、Safari最新版、Firefox最新版 (4) CMS:WordPress (5) SSL対応:あり (6) お問い合わせフォーム:あり (7) アクセス解析:Google Analyticsの導入
詳細については、別紙「制作物仕様書」に定めるとおりとする。
第4条(納品物)
乙は本業務の成果物として、以下のものを甲に納品するものとする。 (1) 完成したホームページ一式 (2) ソースコード一式(HTML、CSS、JavaScript等) (3) デザインデータ(Adobe Photoshop、Illustratorファイル等) (4) CMS管理画面へのアクセス情報 (5) 操作マニュアル
納品方法はデータの電子的な引き渡しとする。
納品場所は甲の指定するサーバーとする。
第5条(制作スケジュール・納期)
本業務の制作スケジュールは以下のとおりとする。 (1) 契約締結日:20XX年〇〇月〇〇日 (2) 要件定義完了:20XX年〇〇月〇〇日 (3) デザイン案提出:20XX年〇〇月〇〇日 (4) デザイン確定:20XX年〇〇月〇〇日 (5) コーディング完了:20XX年〇〇月〇〇日 (6) 動作テスト完了:20XX年〇〇月〇〇日 (7) 納品日:20XX年〇〇月〇〇日
甲乙いずれかの責に帰すべき事由によらない場合、または甲乙協議の上、スケジュールを変更することができる。
第6条(委託料及び支払条件)
本業務の委託料は以下のとおりとする。 (1) 制作費:金〇〇〇,〇〇〇円(消費税別) (2) 保守費:月額金〇〇,〇〇〇円(消費税別)
支払条件は以下のとおりとする。 (1) 制作費 ① 着手金:契約締結時に制作費の30% ② 中間金:デザイン確定時に制作費の30% ③ 残金:納品検収完了後に制作費の40% (2) 保守費:毎月末締め翌月15日までに当月分を支払う
支払方法は銀行振込とし、振込手数料は甲の負担とする。
第7条(仕様変更・追加作業)
本業務の実施中に仕様変更や追加作業が必要となった場合、甲は乙に対して書面またはメールにて変更・追加の内容を通知する。
乙は前項の通知を受けた後、変更・追加作業の内容、費用、納期への影響を検討し、甲に提案する。
甲が前項の提案を承諾した場合に限り、乙は変更・追加作業を実施する。
変更・追加に伴う費用は別途見積りの上、第6条の支払条件に準じて支払うものとする。
軽微なテキスト修正(誤字脱字の修正等)については、3回までは無償で対応する。
第8条(著作権・知的財産権)
本業務の成果物に関する著作権は、検収完了後に甲に譲渡されるものとする。
前項にかかわらず、成果物に第三者の著作物が含まれる場合、当該第三者の著作物に関する著作権は譲渡の対象外とする。
乙は甲に対し、成果物に関する著作者人格権を行使しないものとする。
乙は、自己の実績紹介を目的として、甲の名称及び成果物の概要を自己のポートフォリオに使用することができる。
第9条(検収)
甲は、乙から納品物の引渡しを受けた日から10営業日以内に納品物の検査を行い、仕様書記載の仕様と合致しているかを確認するものとする。
前項の検査の結果、納品物に不具合等が発見された場合、甲は乙に対して修正を求めることができる。
乙は前項の修正要求を受けた場合、速やかに修正を行い、再度納品するものとする。
第1項の期間内に甲から何ら意義の申出がない場合、検収に合格したものとみなす。
第10条(契約不適合責任)
納品物が本契約に定める仕様と適合しない場合(以下「契約不適合」という)、甲は乙に対し、検収完了後6カ月以内に限り、契約不適合の修正を請求することができる。
前項の期間経過後に発見された契約不適合、またはCMSのバージョンアップやブラウザのアップデート等、乙の責によらない事由により生じた不具合については、別途有償にて対応するものとする。
甲が納品物の改変を行った場合、乙は当該改変部分に関する契約不適合責任を負わない。
第11条(機密保持義務)
甲及び乙は、本契約に関連して知り得た相手方の業務上、技術上の情報(以下「秘密情報」という)を、相手方の事前の書面による同意なくして第三者に開示、漏洩してはならない。ただし、以下の情報についてはこの限りではない。 (1) 開示を受けた時点で既に公知であった情報 (2) 開示を受けた後、自己の責によらず公知となった情報 (3) 開示を受ける前から既に自己が保有していた情報 (4) 正当な権限を有する第三者から適法に取得した情報
前項の義務は、本契約終了後も2年間存続するものとする。
第12条(サーバー情報・ドメイン情報)
ホームページを設置するサーバーアカウント及びドメインは、甲の名義で取得するものとする。
乙は、本業務の遂行に必要なサーバーアカウント情報、ドメイン管理情報、各種パスワード等を適切に管理するものとする。
乙は、本契約終了時に、前項の情報を甲に引き継ぐものとする。
本契約期間中のサーバー費用及びドメイン更新費用は甲の負担とする。
第13条(解除・解約)
甲及び乙は、相手方が以下の各号のいずれかに該当した場合、何らの催告なく直ちに本契約の全部または一部を解除することができる。 (1) 本契約に違反し、相当の期間を定めて催告したにもかかわらず是正されないとき (2) 差押、仮差押、仮処分、強制執行等の申立てを受けたとき (3) 破産、民事再生、会社更生等の申立てを受け、または自ら申立てを行ったとき (4) 解散決議をしたときまたは事業を廃止したとき (5) 手形または小切手が不渡りとなったとき (6) その他前各号に準ずる事由により、本契約の継続が困難と認められるとき
甲が本業務の発注を中止または本契約を解約する場合は、乙に対して1カ月前までに書面にて通知するものとし、乙が既に実施した業務に相当する委託料を支払うものとする。
第14条(不可抗力)
地震、台風、津波等の天災地変、戦争、テロ、内乱、暴動、感染症の流行、その他当事者の責に帰すことのできない事由により、本契約の全部または一部の履行が不能または著しく困難となった場合、甲及び乙は、その不履行について責任を負わないものとする。
前項の場合、被害を受けた当事者は速やかに相手方に通知し、甲乙協議の上、履行期間の延長や契約内容の変更等の対応を決定するものとする。
不可抗力事由が90日以上継続する場合、甲及び乙は協議の上、本契約を解除することができる。
第15条(損害賠償)
甲及び乙は、本契約に違反して相手方に損害を与えた場合、相手方に対しその損害を賠償する責任を負う。
前項の損害賠償額は、本契約の委託料を上限とする。ただし、故意または重過失による損害についてはこの限りではない。
乙は、本業務の実施に関連して第三者に損害を与えた場合、自己の責任と費用をもってこれを解決するものとする。
第16条(権利義務の譲渡禁止) 甲及び乙は、相手方の書面による事前の同意なくして、本契約上の地位及び本契約に基づく権利義務を第三者に譲渡、承継させてはならない。
第17条(協議事項) 本契約に定めのない事項または本契約の解釈に疑義が生じた事項については、甲乙誠実に協議の上、解決するものとする。
第18条(管轄裁判所及び準拠法)
本契約に関して紛争が生じた場合は、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
本契約の解釈及び適用は、日本法に準拠するものとする。
以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。
20XX年〇〇月〇〇日
甲(発注者) 住所: 名称: 代表者: 印
乙(受注者) 住所: 名称: 代表者: 印
【重要】本テンプレートはあくまで雛形です
このテンプレートは、一般的な記載事項をまとめたものです。法改正などにより、必要な記載事項は変わる可能性があります。本テンプレートの利用によって生じたいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いかねます。実際の書面として使用する際は、必ず弁護士や行政書士などの専門家にご相談の上、ご自身の責任で内容を精査・修正してください。
【立場別】ホームページ制作契約書のチェックポイント
ホームページ制作の契約書は、立場によって注目すべきポイントが異なります。発注者(クライアント)と受注者(制作会社・フリーランス)それぞれの視点から大切なチェックポイントを押さえることで、自分の権利を守りながらも公平な契約を結べます。ここでは立場別のチェックポイントを解説します。
【立場別】ホームページ制作契約書のチェックポイント
発注者(クライアント)側のチェックポイント
発注者側は自社の利益を守りながら、制作会社との良好な関係を築けるポイントに注目しましょう。特に以下の4つは慎重に確認することが大切です。
業務範囲は明確か?
業務範囲があいまいだと認識に齟齬が生じ、「これも含まれると思っていた」というトラブルの原因になります。
制作ページ数
修正回数
希望する仕様が含まれるか(SSL設定やお問い合わせフォームなど)
何が含まれないか
これらを明確にしましょう。あいまいな表現ではなく、具体的な数値や例で明記する ことをおすすめします。
追加料金発生の条件は?
追加料金が発生する条件と金額の算定方法を明確にしましょう。「仕様変更の依頼方法」や「無料対応の範囲」を具体的に定めておくと安心です。追加料金が発生する場合は事前に見積もりを提示してもらい、承認してから作業に入る流れを明記しておくことで、予期せぬ費用負担を防げます。
著作権は譲渡されるか?
納品物の著作権がクライアントに譲渡されないと、サイトの自由な改変や他社への保守委託が制限される可能性 があります。著作権の帰属先と利用範囲を明確にし、全面的な譲渡を受けられるように交渉しましょう。
検収期間は十分か?
お互いに納得のいく検収期間と基準を設定しましょう。検収完了の判断方法も明記し、検収期間後も一定期間(3〜6カ月程度)の契約不適合責任を設けておくと、後から発見された不具合にも対応してもらえます。
受注者(制作会社・フリーランス)側のチェックポイント
受注者側が特に確認すべき項目は以下の3つです。
クライアントの協力義務は明記されているか?
制作に必要な素材提供や確認作業などのクライアント側の責任を明確にしましょう。「必要な情報の提供期限」や「遅延した場合の納期への影響」を具体的に記載し、クライアントの対応遅れによる納期延長も明記 しておくと安心です。
素材の提供遅れはトラブルの原因になりやすいため、対応方法も定めておきましょう。
支払い条件は不利でないか?
全額が「最終一括払い」の条件では資金繰りが厳しくなります。理想的としては「着手金(30%)・中間金(30%)・残金(40%)」の3段階払いでしょう。
支払期日や遅延時の対応を明記し、長期保守契約の場合の料金改定条件や更新手続きも確認しておくことが大切です。
責任範囲は限定されているか?
損害賠償の上限額(契約金額を上限とするなど)や対象外となる損害を明確に し、契約不適合責任の期間も適切か確認しましょう。クライアントの指示に従った結果や提供素材に起因する問題、クライアントが独自に行った改変部分については責任を負わない旨を記載しておくことで、過大なリスクを避けられます。
ホームページ制作の契約の流れ
ホームページ制作の契約書を作成したら、次は実際の契約締結へと進みます。ここでは契約締結までの流れを解説するとともに、電子契約を活用した効率的な方法についても紹介します。
STEP
打ち合わせ(契約内容の擦り合わせ)
お互いが認識をそろえるための話し合いをします。制作の目的、予算、納期、業務範囲などの基本事項を確認しましょう。業務範囲や追加料金の条件など、上述したチェックポイントはしっかり話し合っておくと安心です。大切な内容はメールなどで記録に残しておきましょう。
STEP
契約書案の提示と調整
打ち合わせ内容をもとに契約書案を作成します。一般的には制作者が、雛形をもとに作ります。契約書案を受け取ったら内容を確認し、必要に応じて修正提案をします。お互いが納得いくまで調整することが大切です。
STEP
契約書への合意と署名(捺印)
内容に合意したら、署名・捺印を行います。紙の契約書なら2部用意してお互いが押印するのが一般的です。
最近は電子契約が主流になりつつあり、「電子印鑑GMOサイン」などのサービスを使えば、オンライン上で手軽に契約できます。
電子契約なら時間短縮になり、郵送費や印紙税といったコストも抑えられます。
STEP
契約書の保管・管理
契約後は安全な場所に保管・管理しましょう。ただし、紙の契約書は紛失や劣化のリスクがあります。
電子契約を利用すればクラウド上で安全に保管され、必要なときにすぐ確認できます。また、検索や関連書類との紐づけもかんたんなので、複数の書類管理がとてもスムーズになります。
電子契約の導入は契約業務全体の効率化につながります。特に、急ぎの案件や遠隔地との取引に大きなメリットがあるため、活用を検討するとよいでしょう。
ホームページ制作契約書に関するよくある質問
ホームページ制作に契約書は必要?
民法上、契約自体は口頭でも可能であり、書面の作成は必須ではありません。しかし、口頭やメールだけだと「言った・言わない」のトラブルになりやすいため、作成することが一般的です。
契約書があれば業務範囲や納期、料金などが明確になり、認識の違いによるトラブルを防げます。また、支払い拒否や一方的キャンセルも、正しい内容で作られた契約書があれば防げるケースが多いので、作成することをおすすめします。
ホームページ制作契約書はどちらが作成する?
一般的には制作者が用意します。ただし、クライアントに法務部門がある場合や独自のルールがある場合は、クライアントが用意することもあります。
誰が作るかではなく、内容をしっかり確認して調整することが大切です。お互いが納得できる内容になっていれば問題ありません。
ホームページ制作における秘密保持契約書とは何?
秘密保持契約書(NDA)は、制作中に知った情報を外部に漏らさないと約束する契約です。ホームページ制作では未公開の事業計画や顧客情報などを扱うこともあるため、情報漏えいを防ぐために締結します。
「秘密情報の定義」「情報の取扱方法」「守秘義務の期間」などを定めるのが一般的です。
秘密保持契約書は誰が作成するのですか?
どちらが作成しても構いませんが、情報を守りたい側(多くは発注者側)が作るケースが一般的です。
「秘密情報の範囲」「義務の期間」は明確な設定が必要ですが、あまり厳しすぎると業務がスムーズに進まなくなることもあるため注意しましょう。
NDAが必要なケースは?
秘密保持契約書(NDA)が必要なのは、以下のようなケースです。
未公開の新サービスのサイトを制作する場合
会員情報や決済情報を扱うサイトの場合
社内システムと連携するサイトの場合
競合他社と取引のある制作会社に依頼する場合
企業の機密情報を共有する必要がある場合
一般に公開されていない機密情報を共有する場合は、秘密保持契約書(NDA)の締結を検討するとよいでしょう。
ホームページ契約書に収入印紙は必要?
紙の契約書で取り交わす場合は必要です。ホームページ制作は「請負契約」にあたるため、契約金額に応じた印紙税がかかります。
印紙税額一覧表の第2号文書「請負に関する契約書」の金額を参考にして、収入印紙を貼り付けましょう。
契約書に記載された契約金額 税額 1万円未満のもの 非課税 1万円以上100万円以下のもの 200円 100万円を超え200万円以下のもの 400円 200万円を超え300万円以下のもの 1,000円 300万円を超え500万円以下のもの 2,000円 500万円を超え1,000万円以下のもの 1万円 1,000万円を超え5,000万円以下のもの 2万円 5,000万円を超え1億円以下のもの 6万円 1億円を超え5億円以下のもの 10万円 5億円を超え10億円以下のもの 20万円 10億円を超え50億円以下のもの 40万円 50億円を超えるもの 60万円 契約金額の記載のないもの 200円
(参考:No.7102 請負に関する契約書|国税庁 )
印紙税は、契約書に記載された内容により取扱いが異なりますのでご注意ください。税務リスクもあるので、不安であれば税理士などの専門家に確認することをおすすめします。
なお、契約書をPDF化して電子契約で取り交わす場合は、電磁的取引となり、課税文書に該当しません。そのため、収入印紙は不要です。
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