営業代行を依頼する際はどんな契約書を締結すればよい?
契約書に含めるべき必須項目や構成は?
契約にあたって発生するトラブルの事例は?
営業代行を依頼する際には、以下のようなトラブルを避けるために適切な契約書の作成が求められます。委託先とのトラブルを避け、成果を最大化するためにも、必要な項目を盛り込んだ契約書を作成しましょう。
- 業務範囲の曖昧さによる「言った・言わない」のトラブル
- 成果報酬基準の不明確さによる報酬トラブル
- レポート義務が果たされず活動実態が不明
- 中途解約条件の記載漏れによるトラブル
- 秘密保持に関する取り決め不足による情報えいリスク
この記事では、営業代行契約書の作成方法と記載すべき項目を解説します。契約書を作成する際に参考にできるテンプレートも掲載したので、ぜひご活用ください。
また、契約書作成後の取り交わしには電子契約がおすすめです。電子契約では、紙の契約書にかかるインク代や印紙代などのコストを削減できます。オンライン上で文書が保管されるので、重要な契約書の紛失リスクをなくせることもメリットです。
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目次
営業代行契約とは?
自社の製品やサービスを外部に営業する際、営業代行を専門にしているフリーランスや企業と契約を結ぶことがあります。その際、どのような契約書を締結するべきなのか疑問を抱いている人もいるでしょう。
以下では、営業代行を締結する際に結ぶべき契約書の類型について解説していきます。
営業代行で用いるおもな契約書は「業務委託契約書」
営業代行で用いるおもな契約書は業務委託契約書です。業務委託契約書は、自社の業務を外部に委託する際に締結します。営業代行を依頼する際は、トラブルを避けるために細かな内容を文書内で定めておくことが大切です。
たとえば、営業する商品の内容や契約期間などを細かく定めておかないと、あとでトラブルにつながる可能性があります。特に報酬額や支払い時期などはお互いの認識に違いがないように、業務委託契約書にまとめておくことが重要です。
業務委託契約書を締結することには、お互いの同意事項を明確にできるだけでなく、信頼関係の構築にもつながるメリットがあります。
契約書には業務の進捗報告義務や秘密保持義務などの情報も記載されるため、契約当事者双方が安心して業務を進行できるようになるでしょう。
請負契約書や準委任契約書との違い
営業代行の業務委託では、請負契約書や準委任契約書を締結することが一般的です。請負契約書と準委任契約書は、どちらも業務委託契約書の類型の1つで、それぞれ以下のような特徴があります。
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契約類型 | 特徴 |
請負契約書 | ・成果物の完成や納品を目的とした契約 ・契約内容に則した品質の成果物を期日までに納品することが求められる |
準委任契約 | ・原則として、業務の遂行に対して報酬が支払われる(成果完成型の準委任契約も存在する) ・システムエンジニアや営業代行など、法律以外の分野で使用される(法律分野は委任契約) |
請負契約と準委任契約の大きな違いは、成果物の納品や完成が求められるかどうかという点です。営業代行を委託する際は、成果と業務の遂行のどちらに重点を置くべきなのか考慮して契約類型を決めましょう。
営業代行契約書に必ず盛り込むべき必須項目リスト
営業代行契約書に必ず盛り込むべき項目は、以下のようなものが挙げられます。適切な契約書を作成できるように、それぞれの例文や概要をチェックしていきましょう。
業務範囲・内容の明確化
第1条(業務内容)
甲は乙に対し、甲の商品・サービスに関する営業活動(見込み顧客の開拓、アポイントの設定、商談支援その他これに付随する業務を含む)を委託し、乙はこれを受託する。具体的な業務内容は、別紙業務内容記載書(以下「別紙」)に定めるとおりとする。
契約書では、どのような業務を委託するのか明確にしましょう。営業を行う際は、自社の商品やサービスを外部に売り込むために、リストの作成やアポイントの設定などのさまざまな業務が発生します。
業務範囲や内容が明確になっていない場合、対応すべき作業についてトラブルになる可能性があります。たとえば、相手方がアポイントの獲得までは対応業務として認識していたものの、商談支援などは範囲外だと勘違いしていた場合、認識の違いでトラブルにつながることがあるでしょう。
このような認識のミスを避けるために、契約書内で対応すべき業務を明確にしておくことが大切です。
契約期間と更新・終了条件
第2条(契約期間)
本契約の有効期間は、契約締結日から起算して1年間とする。
契約期間満了の30日前までにいずれの当事者からも書面による更新拒絶の意思表示がない場合、本契約は同一条件でさらに1年間自動更新されるものとし、以後も同様とする。
契約書では、契約がいつまで続くのか記載します。期間の設定方法は契約によって異なりますが、1年単位で指定する場合や1カ月単位で設定する場合などさまざまなケースがあるでしょう。
営業代行は長期的な契約になることも多いので、間違いがないように依頼したい期間について明確に定めておくことが大切です。また、契約書では、契約の更新や終了条件についても記載する必要があります。
当事者間で意思表示がない場合、自動で契約が更新されるケースや合意が必要とすることもあるので、その内容も事前に定めておきましょう。
報酬体系と支払条件・時期
第3条(報酬および支払条件)
乙に支払う報酬は以下のとおりとする。
(1) 固定報酬:月額〇〇円(税別)
(2) 成果報酬:別紙に定める条件を充足した成約1件あたり〇〇円(税別)
成果報酬における「成果」の定義、判定方法および算出基準は別紙に記載する。
甲は、当該月の末日に業務の成果および報告を確認し、翌月末日までに乙の指定口座に振込により支払う。なお、振込手数料は甲の負担とする。
営業を代行する際は、特に報酬体系や支払条件などを明確にすることが大切です。報酬体系は固定報酬か成果報酬のどちらかにする場合や両方を組み合わせるパターンも考えられます。
成果報酬を設定する場合は、成果の定義や測定方法も明確にすることが重要です。たとえば上記の契約では、成約1件あたりの成果報酬額を明記しており、成果の具体的な定義や判定方法については別紙で詳細を記載しています。
あわせて、支払時期や方法についても記載しましょう。振込で報酬を支払う場合は、手数料の負担をどちらが担うのか記載しておくとトラブルを回避しやすくなります。
報告義務
第4条(報告義務)
乙は、甲が合理的に求める形式および頻度に従い、営業活動に関する報告書を提出するものとする。
営業代行を外部に委託する際は、成果物の納品を求める請負契約ではなく、業務の遂行を目的とする準委任契約を締結することがあります。準委任契約は、コンサルなどの専門業務をプロに依頼しやすいメリットがありますが、実際の成果や対応した内容について把握しづらい点に注意が必要です。
したがって、営業代行を依頼する場合は、活動に関する報告義務を設けることがおすすめです。報告を行う方法としては、メールやリモート、出社などさまざまな形式が考えられるので、その頻度とあわせて契約書に明記しておきましょう。
経費の取り扱いの明確化
第5条(経費負担)
業務遂行に要する費用は、特に定めのある場合を除き、乙の負担とする。ただし、甲が事前に書面により承認した費用については、甲が負担する。
営業業務を遂行するには、商談のための交通費や電話、インターネット代などさまざまな経費がかかります。そのため、契約書を締結する際は経費の取り扱いについても定めておくことが大切です。
契約によっては委託側が負担するケースもありますが、上記のように受注者側が費用を支払うこともあります。一部の経費については承認を得た場合に委託側が負担するようにしておくと、トラブルにつながるリスクを低減できるでしょう。
特に、遠方や地方に訪問することがある場合は負担が高額になってしまいます。すべての経費が認められない場合、契約関係に亀裂が生じてしまうこともあるので、柔軟に対応できるように調整することがおすすめです。
秘密保持義務(NDA)
第6条(秘密保持)
乙は、本契約に関連して知り得た甲の営業情報、技術情報、顧客情報、その他一切の非公開情報(以下「秘密情報」という)を第三者に開示または漏洩してはならない。
前項の義務は、本契約終了後も5年間継続するものとする。
法令に基づき開示義務を負う場合を除き、乙は秘密情報を業務以外の目的で使用してはならない。
営業代行を依頼する際は、自社の顧客情報や技術情報など重要な情報を委託先に共有することがあります。外部に情報が漏れてしまうと自社の利益に悪影響が及ぶため、秘密保持義務を設けて保護することが大切です。
秘密保持義務の条項では、どのような情報を守るべきなのか明確にします。定義が曖昧だと、許可していない重要情報が外部に公開されてしまう可能性があるので注意が必要です。
ただし、秘密保持義務を締結したとしても必ず情報が守られるわけではありません。リスクを回避するためには、当事者間で情報の管理方法や取り扱い方について認識を共有しておくことが大切です。
知的財産権の帰属
第7条(知的財産権の帰属)
本契約に基づき乙が作成した提案資料、営業資料、顧客リスト、その他成果物に関する著作権その他の知的財産権は、すべて甲に帰属するものとする。ただし、乙が保有する事前の知的財産権についてはこの限りではない。
知的財産権は、企業の技術やブランド、文芸・芸術などを保護するための権利です。営業代行の契約書では、業務に関連した知的財産権がどちらに帰属するのかを定めておく必要があります。
業務委託契約の場合、基本的に知的財産権は発注者側に帰属します。しかし、契約によっては受注者側に帰属することもあるので、当事者間で相談したうえで取り扱いについて明記しておきましょう。
知らない間に知的財産権を侵害していた場合、差止請求や損害賠償の対象になることもあるので注意してください。
再委託の可否と条件
第8条(再委託)
乙は、甲の事前の書面による承諾を得ることなく、本契約に基づく業務の全部または一部を第三者に再委託してはならない。
営業代行を外部に依頼した際は、第三者への再委託ができるのかについても明記しましょう。一般的には再委託を禁止にするケースが多く見られますが、委託側の許可を得た場合は可能にすることもあります。
再委託が禁止になる理由としては、責任の所在が不明確になりやすい点や品質が低下する可能性があることなどが考えられます。再委託を許可する場合には、選定先の業務遂行能力に問題がないか確認することが大切です。
情報漏えいのリスクも高まるので、セキュリティ評価基準を設けて再委託先がクリアしているのかチェックすることをおすすめします。情報共有もなるべく密に行うようにすれば、トラブルやリスクを回避しやすくなるでしょう。
禁止事項
第9条(競業避止義務)
乙は、本契約期間中および契約終了後1年間、甲と競合する事業を行う第三者から、同様の営業活動を受託してはならず、また甲の顧客に対して直接営業活動を行ってはならない。
営業代行では、競業避止義務などの禁止事項も必須項目です。競業避止義務では、自社と競合する企業で同様の業務を委託してはいけないと定めます。
競業避止義務がない場合は、自社の顧客情報やノウハウが外部に漏れる可能性があります。秘密保持義務と同様に自社の利益を保護するために必要な項目なので、忘れずに記載しましょう。
受注者が競業避止義務に違反した場合は、差止請求や損害賠償を求めることができるので、安心して業務委託を依頼するためにも重要な条項です。
損害賠償の規定
第10条(損害賠償)
乙が本契約に違反し、甲に損害を与えた場合、乙は甲に対し、直接的かつ現実に発生した損害を賠償する責任を負う。
当事者による債務不履行があった場合は、その損害に応じて賠償を請求できます。なお、損害賠償は民法で定められた権利であるため、契約書に記載がなくても請求することが可能です。
(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
(引用:民法|e-Gov法令検索)
ただし、契約書で損害の範囲や請求の上限を定めておくことができるので、契約ごとに調整することをおすすめします。特に、上限が無理のない内容になっているのか、当事者間で確認しておくことが大切です。
解除・解約条項
第11条(契約の解除)
甲または乙は、相手方が本契約の条項に違反し、相当期間を定めて是正を求めたにもかかわらず是正されない場合、本契約を解除することができる。
前項にかかわらず、いずれかの当事者が破産、民事再生、会社更生その他これに類する法的手続を開始し、または開始された場合、相手方は催告なく本契約を解除できる。
契約期間中であっても、甲および乙は30日前までに書面による通知をもって本契約を解除することができる。
業務委託契約では、契約解除や解約についての条項も記載します。具体的には、どのようなシチュエーションで契約を解除できるのか明記することが大切です。
たとえば、契約の条項に違反した場合や求めた是正が行われない場合に解除できるようにしておくと安心でしょう。また上記のように、当事者が破産や民事再生の手続きを行なったときにも、催告なしに契約を解除できると記載しておくことをおすすめします。
あわせて、契約期間中に契約解除をする場合、いつまでにどのような申告をするべきなのか明記しておくと滞りなく作業が進みやすくなります。
管轄裁判所・準拠法
第12条(準拠法および合意管轄)
本契約に関する準拠法は日本法とし、本契約に起因または関連する一切の紛争については、甲の本店所在地を管轄する地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
準拠法の条項では、契約に関してトラブルがあった際、どの法律が適用されるのか記載します。基本的には日本法にしますが、国際的な契約ではニューヨーク州法などほかの法律を適用することもあるので調整が必要です。
合意管轄の条項では、紛争が起こった際にどの裁判所で訴訟を行うか定めます。距離が遠い場合は交通費や移動の負担が大きくなるので、万が一に備えて当事者間で相談しておくことがおすすめです。
契約書の内容を確認したあとは電子契約で締結することをおすすめします。電子署名が付与されている電子契約書であれば、紙の契約書と同じ法的証拠力を担保できます。
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営業代行の業務委託契約書のテンプレート【成果報酬に対応】
以下は、前述した例文をまとめた営業代行に関する業務委託契約書のテンプレートです。契約書を作成する際は、ぜひ内容を参考にしてみてください。
ただし、テンプレートを利用する際も、契約書の内容をチェックすることが大切です。テンプレートは契約に求められる基本的な内容を含めたものであるため、個々の契約状況に完全にマッチすることはほとんどありません。
そのままテンプレートを使用すると、契約に必要な項目が含まれていないことがあります。契約書の作り直しをする手間が発生したり、法的証拠力が弱くなったりするリスクもあるため、必ず内容に問題がないか確認しましょう。
適切に作成できているか不安な場合は、専門的な知識を持った弁護士などにファクトチェックを依頼することもおすすめです。
業務委託契約書
株式会社〇〇(以下「甲」という)と、〇〇(以下「乙」という)は、乙が甲から営業業務を受託し、これを遂行することに関し、以下のとおり業務委託契約(以下「本契約」という)を締結する
第1条(業務内容)
甲は乙に対し、甲の商品・サービスに関する営業活動(見込み顧客の開拓、アポイントの設定、商談支援その他これに付随する業務を含む)を委託し、乙はこれを受託する。具体的な業務内容は、別紙業務内容記載書(以下「別紙」)に定めるとおりとする。
第2条(契約期間)
本契約の有効期間は、契約締結日から起算して1年間とする。
契約期間満了の30日前までにいずれの当事者からも書面による更新拒絶の意思表示がない場合、本契約は同一条件でさらに1年間自動更新されるものとし、以後も同様とする。
第3条(報酬および支払条件)
乙に支払う報酬は以下のとおりとする。
(1) 固定報酬:月額〇〇円(税別)
(2) 成果報酬:別紙に定める条件を充足した成約1件あたり〇〇円(税別)
(成果報酬における「成果」の定義、判定方法および算出基準は別紙に記載する。)
2. 甲は、当該月の末日に業務の成果および報告を確認し、翌月末日までに乙の指定口座に振込により支払う。なお、振込手数料は甲の負担とする。
第4条(報告義務)
乙は、甲が合理的に求める形式および頻度に従い、営業活動に関する報告書を提出するものとする。
第5条(経費負担)
業務遂行に要する費用は、特に定めのある場合を除き、乙の負担とする。ただし、甲が事前に書面により承認した費用については、甲が負担する。
第6条(秘密保持)
乙は、本契約に関連して知り得た甲の営業情報、技術情報、顧客情報、その他一切の非公開情報(以下「秘密情報」という)を第三者に開示または漏洩してはならない。
2. 前項の義務は、本契約終了後も5年間継続するものとする。
3. 法令に基づき開示義務を負う場合を除き、乙は秘密情報を業務以外の目的で使用してはならない。
第7条(知的財産権の帰属)
本契約に基づき乙が作成した提案資料、営業資料、顧客リスト、その他成果物に関する著作権その他の知的財産権は、すべて甲に帰属するものとする。ただし、乙が保有する事前の知的財産権についてはこの限りではない。
第8条(再委託)
乙は、甲の事前の書面による承諾を得ることなく、本契約に基づく業務の全部または一部を第三者に再委託してはならない。
第9条(競業避止義務)
乙は、本契約期間中および契約終了後1年間、甲と競合する事業を行う第三者から、同様の営業活動を受託してはならず、また甲の顧客に対して直接営業活動を行ってはならない。
第10条(損害賠償)
乙が本契約に違反し、甲に損害を与えた場合、乙は甲に対し、直接的かつ現実に発生した損害を賠償する責任を負う。
第11条(契約の解除)
甲または乙は、相手方が本契約の条項に違反し、相当期間を定めて是正を求めたにもかかわらず是正されない場合、本契約を解除することができる。
2. 前項にかかわらず、いずれかの当事者が破産、民事再生、会社更生その他これに類する法的手続を開始し、または開始された場合、相手方は催告なく本契約を解除できる。
3. 契約期間中であっても、甲および乙は30日前までに書面による通知をもって本契約を解除することができる。
第12条(準拠法および合意管轄)
本契約に関する準拠法は日本法とし、本契約に起因または関連する一切の紛争については、甲の本店所在地を管轄する地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
本契約は、以下記載の締結日に、正本2通を作成し、甲乙各自1通を保有する。
締結日:令和〇年〇月〇日
甲(委託者)
所在地:〇〇〇〇〇〇
会社名:株式会社〇〇
代表者名:〇〇〇〇(印)
乙(受託者)
所在地:〇〇〇〇〇〇
会社名:株式会社〇〇
代表者名:〇〇〇〇(印)
営業代行契約の注意点とよくあるトラブル事例
営業代行契約を締結する際には、以下のようなトラブルが発生することがあるので注意が必要です。ここからは、それぞれのトラブル事例について解説するので、具体例や注意点などを確認していきましょう。
業務範囲の曖昧さによる「言った・言わない」のトラブル
契約を結ぶ際に業務範囲の定義が曖昧だと、あとで「言った・言わない」のトラブルになる可能性があります。そのため、どのような業務を行うべきなのか当事者間で認識をすり合わせておくことが大切です。
たとえば、営業代行を外部に依頼する際は以下のような業務がおもな範囲になります。
- リード獲得や見込み顧客のリスト作成
- テレアポやメールなどによるアウトバウンド営業
- アップセルやクロスセルなど既存顧客への営業
- クロージングの支援
- 報告や改善の提案
契約によってはアポの獲得までを依頼し、商談を自社で担当するケースもありますが、すべての業務を依頼するパターンもあります。その場合、受注者側が商談は担当外だと誤認していると、トラブルにつながることがあるので注意が必要です。
成果報酬基準の不明確さによる報酬トラブル
営業代行では、報酬を成果報酬に設定するケースが多く見られます。ただし、成果の定義が曖昧のまま契約を結び、トラブルにつながることがあるので注意してください。
営業代行の依頼を成果報酬にする場合は、契約書で成果の定義を明記しましょう。たとえば、アポイントや成約一件ごとに報酬を設定することがありますが、定義が不明確だと強引に獲得した成果でも問題ないと判断されてしまいます。
そのまま代行を続けると自社にクレームが届く可能性もあるので、成果の質についても言及しておくことが大切です。トラブルを回避するために、成果が発生しない条件についても認識を共有しておきましょう。
レポート義務が果たされず活動実態が不明
営業代行を依頼したあとは、どのような活動を日々行なっているのか確認が必要です。営業ではより確度の高いリストを作成したり、テレアポのスクリプトを調整したりすることで営業の成功率を高められますが、報告義務がないと実態を把握できず不安になることがあります。
報告義務を設けることで受注者側の意識も高まるので、契約書に報告するべき内容や頻度などを明記しましょう。契約書に記載がない場合は、報告を命じても断られてしまうことがあるので注意が必要です。
具体的な活動内容がわからないと、こちらから改善案を提示することも難しくなるので、想定よりも成果が上がらなくなってしまうリスクがあります。
自社の製品やサービスを効率的に普及させるためには、PDCAを回すことが大切なので、契約書に代行者の報告義務を必ず明記しましょう。
中途解約条件の記載漏れによるトラブル
営業代行などの業務委託契約を締結する際は、契約書に解約の条件を記載することが大切です。業務の質が規定に合わなかった場合や違反が発覚した際に契約を解約することを明記しておくと、安心して委託できるでしょう。
中途解約条件について契約書に記載がない場合、解約を提案しても相手方が納得せずトラブルにつながる可能性があります。損害賠償請求を受けることもあるので、どのようなシチュエーションで解約ができるのかお互いの認識をすり合わせて、契約書に明記しておくことが大切です。
違反があった際や相手方が破産手続きをしている場合などは催告なしで解約を行うこともありますが、一般的には事前に通知をします。契約書には「⚪︎日前までに通知すること」と定めておくと、受注者側も突然の解約に不安を抱えずに済むでしょう。
秘密保持に関する取り決め不足による情報漏えいリスク
営業代行を外部に依頼した際は、自社の顧客情報や商品に関する情報を提示する必要があります。これまでに培ってきた技術やノウハウを共有するので、秘密保持義務を定めて保護することが大切です。
秘密保持の取り決めができていない場合は、情報漏えいによって多大な損失を受ける可能性があります。契約書には、何を秘密保持情報とするのか定めておきましょう。また、損害賠償請求の実施など、外部に情報が漏れた場合の対処についても記載することをおすすめします。
特に、許可のない顧客情報の公開や外部への共有などには注意が必要です。金銭的な損失だけでなく、顧客からの信頼にも悪影響が及ぶリスクがあります。
秘密保持義務や損害賠償請求の条文を記載することで抑止力になるため、必ず内容が盛り込まれているかチェックしましょう。
営業代行契約書に収入印紙は必要?
営業代行契約書を作成する際、収入印紙は必要なのか疑問を抱く方もいるでしょう。以下では、営業代行契約書に収入印紙が必要なケースを解説します。
印紙税が不要な電子契約についても解説するので、あわせて内容を確認しましょう。
営業代行の契約で収入印紙が必要なケース
準委任契約書の場合は、非課税文書であるため原則として収入印紙は不要です。ただし、営業代行を請負契約で締結する場合は、第2号文書の請負に関する契約書に該当するため印紙が必要になります。
第2号文書の印紙税額は、以下のように契約書に記載されている金額によって異なるので、内容を確認して適切な印紙を貼り付けましょう。印紙を貼り忘れた場合は、過怠税が課される可能性があります。過怠税は、納付すべき印紙税の3倍の額が課されるので注意が必要です。
【契約金額】 | 【印紙税額】 |
---|
1万円未満(※) | 非課税 |
1万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円を超え200万円以下 | 400円 |
200万円を超え300万円以下 | 1千円 |
300万円を超え500万円以下 | 2千円 |
500万円を超え1千万円以下 | 1万円 |
1千万円を超え5千万円以下 | 2万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 6万円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え10億円以下 | 20万円 |
10億円を超え50億円以下 | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
(引用:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁)
「準委任契約書」という名前にしていても、内容が請負契約である場合は課税対象となります。契約書は名称ではなく、内容で判断される点にご注意ください。
電子契約にすれば印紙税の対象外なのでコストを抑えられる
収入印紙が求められるのは紙の契約書(課税文書)のみです。電子契約の場合は電磁的取引に該当し、課税文書ではないため、契約の種類に関わらず収入印紙は不要です。
紙の契約書の場合、契約金額によっては印紙税が高額になるケースもあるでしょう。そのような場合は、電子契約にすることで負担を抑えられます。
電子契約では印紙税だけでなく、書類の印刷代やインク代などのコストもなくせることがメリットです。毎回文書を封入したり投函したりする作業も必要ないので、業務の効率化につながります。
電子契約の安全性について疑問を投げかける人もいますが、電子署名という技術によって非改ざん性や本人性を担保できるため安心です。電子署名があれば紙の契約書と同じ法的証拠力が認められるので、重要な契約でも導入できるでしょう。
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営業代行契約書に関するよくある質問
業務委託契約のメリットは?
業務委託契約を利用するメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- 固定人件費の削減ができる
- 専門スキルの即時活用ができる
- 採用リスクや負担の回避ができる
- プロジェクト単位など柔軟な業務内容の設定が可能になる
営業代行のように、専門的なスキルを持った人材を育成するのは時間がかかります。人材を見つけて正社員として採用しても、企業の雰囲気や方針にあわないリスクがあるため注意が必要です。
その点、業務委託契約を利用すれば、専門性の高い人材を即時柔軟に活用できます。
業務委託契約のデメリットは?
業務委託契約には、以下のようなデメリットもあります。
- 情報漏えいのリスクがある
- 人材育成やノウハウの蓄積につながりづらい
- 業務のコントロールが難しくなる可能性がある
- 知的財産権の帰属が曖昧でトラブルにつながることがある
契約を締結する際は、秘密保持義務や損害賠償請求などの条項を記載して、情報漏えいなどのトラブルを防げるようにしましょう。
また、営業代行の業務内容をコントロールするためには、対応範囲や報告義務についても明記しておくことが大切です。
営業代行契約を取り交わす流れは?
営業代行契約を取り交わす流れは以下のとおりです。
STEP
依頼する業務内容の明確化
まずは、どのような業務内容を委託するのか明確にします。営業代行の場合、テレアポまでを依頼するのか商談も任せるのかなど、その範囲について定めておくことが大切です。
STEP
委託先の選定や見積もり
業務内容が決まったら、委託先の選定や見積もりを行いましょう。実績や口コミなどを確認して、委託先を選択することが大切です。
STEP
条件交渉
委託先に問題がなければ、条件交渉を行います。業務内容や報酬、納期などを事前にすり合わせておき、認識のずれが発生しないようにしておきましょう。
STEP
契約書の作成と調整
交渉した内容をもとに、契約書を作成しましょう。業務内容だけでなく、知的財産権の帰属や秘密保持など重要な項目が漏れていないか確認が必要です。
STEP
契約の締結
当事者双方が契約書の内容を確認し、問題がなければ締結を完了します。営業代行の業務が始まったら、進捗確認を定期的に実施して管理しましょう。
営業代行契約を成果報酬にする際の注意点は?
営業代行契約を成果報酬にする際は、成果の定義が曖昧にならないように注意してください。成果の内容が不明確だと、確度の低いアポや強引に獲得した成約も報酬の対象になってしまうことがあります。
状況によっては、自社にクレームが届いたりブランディングにも悪影響が及んだりする可能性があるので、事前にどのような条件で報酬を支払うのか明確にすることが大切です。
営業代行契約書は電子契約での取り交わしがおすすめ
営業代行を外部に依頼する際は、業務委託契約を締結することが一般的です。契約書には、業務の範囲や報酬、期間などを明記しておきましょう。
また、トラブルを回避するために秘密保持義務や損害賠償請求の条項も記載することが大切です。特に、営業代行では顧客情報やノウハウなどの重要な情報を当事者間で共有することが多いので、漏えいには細心の注意を払いましょう。
契約書を作成したあとは、電子契約サービスを利用して締結することがおすすめです。
電子契約は収入印紙やインク代などの費用が不要なので、契約にかかる負担を軽減できます。オンライン上でいつでも契約を締結できるため、業務効率化にもつながるでしょう。
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