2025年11月26日(水)、「電子印鑑GMOサイン」の10周年を記念した特別イベント「10th Anniversary 感謝イベント」を、GMOインターネットグループ第2本社(GMO Yours・フクラス)で開催しました。
日頃からGMOサインをご利用いただいている有料プランユーザーさまやパートナー企業の皆さまにお集まりいただき、「感謝」と「これからの10年」をテーマに、プロダクトのこれまでとこれから、電子契約の最新トピック、参加者同士の交流など、盛りだくさんのプログラムをお届けしました。
本記事では、「電子契約が浸透する企業・しない企業の違い」「今後の契約業務との向き合い方」など、実務に直結するトークセッションの内容を中心に、当日の様子をダイジェストでご紹介します。
GMOサイン10周年、「THANK YOU」を伝える特別な一夜
会場となったのは、GMOインターネットグループ第2本社内のコミュニケーションスペース「GMO Yours・フクラス」。渋谷駅直結のフロアには、10周年をモチーフにした装飾や記念グッズが並び、受付開始とともに多くのお客さまにご来場いただきました。


本イベントは、GMOサインの有料プランをご利用中のお客さま、そしてパートナーの皆さま限定の「感謝イベント」です。これまでの10年を一緒に歩んできたみなさまに直接お礼を申し上げるとともに、
- GMOサインの料金プランアップデートの背景や今後の構想
- 電子契約の浸透に向けたリアルな実務課題
- 他社の取り組みや工夫からの学び
- サービスへの率直なご要望・ご意見
を共有し合う場として企画しました。
第1部は「GMOサインの今までとこれから」と題したオープニングセッションと電子契約の浸透をテーマにしたトークセッション。第2部は立食形式の懇親会として、参加者同士やGMOサインメンバーとの交流・意見交換、そして豪華賞品が当たる抽選会を実施しました。
オープニング:GMOサインの今までとこれから
第1部の幕開けを飾ったのは、GMOサイン事業部 部長・牛島 直紀によるプレゼンテーション「GMOサインの今までとこれから」です。

2015年11月のサービス提供開始から今日までの10年間で、電子契約を取り巻く環境は大きく変化しました。法律・ガイドラインの整備、リモートワークの定着、ペーパーレスや業務効率化への関心の高まりなど、さまざまな追い風の中で、GMOサインも多くのお客さまの契約業務を支えるサービスへと成長してきました。
プレゼンテーションでは、
- サービスリリース以降の主要なアップデートや機能追加の振り返り
- 自治体や金融機関など、信頼性が重視される分野への導入が進んだ背景
- 2025年11月にリリースした新プラン体系および新管理画面への刷新の狙い
- 「電子署名から、社会を動かすしくみへ」というブランドビジョン
などについてご紹介しました。


最後に牛島から「GMOサインは今回の10周年を通過点と捉え、次の10年でユーザーの皆さまとともに、社会を動かすしくみそのものを築き上げていきたい」とのメッセージが伝えられ、会場は大きな拍手に包まれました。
トークセッション:“契約の新時代”に企業は何をすべきか
続いて行われたのが、イベントの目玉プログラムとなるトークセッションです。テーマは「紙文化の壁を越え、電子契約が社内に根づくまで “契約の新時代”に企業は何をすべきか」。電子契約ベンダー、法律の専門家、そして導入ユーザー企業という3つの視点から、電子契約の“浸透”に焦点を当てて議論しました。

- 朝隈 和幸 氏(株式会社みずほフィナンシャルグループ デジタル戦略部 ヴァイスプレジデント)
- 宮内 宏 氏(宮内・水町IT法律事務所 弁護士)
- 牛島 直紀(GMOサイン事業部 部長)
- 管(モデレーター、GMOサイン事業部 カスタマーサクセス担当)
電子契約が「浸透する企業」と「浸透しない企業」の違い
最初のトピックは「電子契約が浸透する理由と浸透しない背景」です。
GMOサイン 牛島からは、ベンダーとして数多くの導入企業を見てきた経験から、「電子契約が社内に浸透する企業」の共通点が語られました。
牛島が強調したのは、「電子化の範囲を最初から広げすぎないこと」の重要性です。浸透に苦戦する企業ほど「すべての契約業務を一気に電子化しようとしてしまう傾向がある」と指摘しました。

牛島「網羅的に、すべての契約書を一気に電子化しようとすると、どうしても『一番重い契約(厳格な本人確認が必要な実印相当の契約など)』の基準に合わせて社内ルールを作らなければなりません。そうすると、本来はもっと手軽に締結できるはずの契約まで手続きが煩雑になり、現場の利便性が下がってしまいます。
スムーズに浸透している企業さまほど、まずは取引先とのライトな契約書や社内決裁文書など『導入ハードルの低いところ』から始めています。どの文書でどう使うかのポイントを絞り、段階的に広げていくことが成功の近道です」
実務面での「まずは簡単なところから」という牛島の提言に続き、宮内弁護士からは、法律の専門家としての視点に加え、「人の心理」という観点から同様の重要性が語られました。

以前は「法的に有効なのか?」「裁判で負けないか?」といった質問が圧倒的に多かったものの、最近はその傾向が変わってきているといいます。「法整備が進み、周囲でも当たり前のように使われるようになったことで、法的な懸念はかなり薄れてきている(宮内弁護士)」と、社会全体の意識の変化について言及しました。
では、なぜまだ浸透しきらない企業があるのか。宮内弁護士はその要因を「使い始めの心理的ハードルの高さ」にあると分析し、ご自身の体験談を披露しました。
宮内弁護士「実は私自身、ずっと『PayPay』などのキャッシュレス決済に対して心理的な抵抗があり、頑なに使っていなかったんです。でもある日、意を決して使ってみたら、あまりの便利さと簡単さに驚きました。電子契約もこれと同じで、まだ使ったことがない人にとっては『未知のもの』なんです。だからこそ、いきなり重要な契約からではなく、まずは社内の比較的簡易な書類から『最初の一回』を経験してもらう。そのハードルさえ越えれば、あとは自然と浸透していくはずです」
この「まずは簡単なものから第一歩を踏み出す」というアドバイスに、多くの参加者が頷いていました。
これを受けてみずほフィナンシャルグループ 朝隈氏からは、銀行という厳格な規律が求められる組織の中で、いかに電子契約を浸透させていったかのプロセスが紹介されました。

朝隈氏はデジタル推進の立場として「積極的に活用してほしい」と考える一方で、法務部門からは「メールアドレスだけの認証で、本当に本人性の担保は大丈夫なのか?」という懸念の声が上がったといいます。
朝隈氏「GMOサインの『メールだけで署名完了』という手軽さは非常に魅力です。しかし法務部と議論すると、どうしても『本人確認は大丈夫か』という話になります。世の中的にも『地面師』などが話題になり、なりすましリスクへの感度が高まっていたタイミングでしたから、法務の言い分ももっともなんです。
ただ、重い契約に合わせてすべてを過度に厳格にしてしまうと、結局誰も使わなくなってしまう。だからこそ、『ここまでは手軽にいこう』『ここからは厳格にしよう』という線引き(マトリクス)が大切です。まずは軽いものから電子化のハードルを下げていく、その工夫が普及のポイントだったと思います」
「法務の懸念にも理解を示しつつ、実務の利便性と両立させる」という朝隈氏のバランス感覚あるアプローチに、会場からは共感の頷きが多く見られました。
今後の契約業務との向き合い方
後半のトークテーマは「企業における今後の契約業務との向き合い方」です。議論は単なる「ハンコをなくす」という話にとどまらず、業務フロー全体の最適化や最新技術を用いたセキュリティのあり方へと広がっていきました。
まず、みずほフィナンシャルグループ 朝隈氏から「フローの途中に紙が挟まることの弊害」についてのお話がありました。

朝隈氏「今、銀行内でも業務効率化の切り札として『AI活用』が一番に挙がりますが、そのためには前提としてペーパーレス化が必要です。契約業務も同じで、電子契約による『署名』はあくまでゴールの一部分。その手前にある膨大な調整業務も含めてデジタルで繋がっていないと、AIもワークしません。フローの途中にアナログな『紙』が介在すると、そこで連携が遮断されてしまい、本当に邪魔になってしまう。署名の電子化をきっかけに、入口から出口まで一気通貫でデジタル化することが必須課題だと感じています」
続けて契約業務の電子化との向き合い方について、宮内弁護士からは「業務全体の棚卸し」の必要性について語られました。

宮内弁護士「朝隈さんがおっしゃる通り、フロー全体の見直しは必須です。多くの企業が陥りがちなのが、今の紙の業務フローを『そのまま』電子に置き換えようとしてしまうこと。でも、『そもそも、今まで慣習としてやってきたその業務フロー、本当に正しいですか?』と疑ってみることも大事です。
電子化は、業務の棚卸しをする絶好の機会です。『ここはハンコがいらないんじゃないか』『この承認ルートは省略できるんじゃないか』と、過去の慣習も含めてゼロベースで見つめ直し、電子化に向けてフロー全体を最適化していく姿勢が求められます」
続いて議論は、電子契約の永遠の課題ともいえる「本人確認(なりすまし防止)」の話題へ。朝隈氏からは、「法人間ならメールアドレス(ドメイン)である程度の信用担保ができるが、対個人の場合(Gmailなど)は難しい」という実務上の悩みが吐露されました。
これに対し、GMOサイン 牛島からは、ベンダーとしての解決策が提示されました。
牛島「おっしゃる通り、厳格な『当事者型電子署名 ※1』はセキュリティ(本人性)が高い反面、相手方の負担が大きく敬遠されがちです。そこで私たちが不動産業界などにご提案しているのが、手軽な『立会人型電子署名(メール認証) ※2』をベースにしつつ、SMS認証などを組み合わせて本人性を強化する方法です。これなら取引先にアカウントを作ってもらう必要がなく、スマホ一つで強固な認証が可能です。また今後は、マイナンバーカードなどの『デジタルID』との連携も進んでいきます。ライトな契約からスタートしつつ、重要な契約もスムーズに電子化できるよう、私たちも環境を整えていきます」
※1 当事者型電子署名:第三者機関(電子認証局)による厳格な本人確認を経た上で発行される、署名者本人名義の電子証明書を用いて署名を行う方式。
※2 立会人型電子署名:サービス提供事業者が、利用者の指示に基づき、事業者名義の電子証明書を用いて署名を行う方式。一般的にメール認証やSMS認証などのログを残すことで本人性を担保する。
最後にモデレーターの管から「一部の業務だけを見るのではなく、全体を俯瞰した上で『どこから攻めるか』を考えることが、結果としてスムーズな導入に繋がる」という総括がなされ、トークセッションは幕を閉じました。
第2部:懇親会で見えた、ユーザーさまと共に創る“次の10年”
第2部は、懇親会スペースに移動し、リラックスした雰囲気の中での立食懇親会です。乾杯の合図とともに、あちこちで「はじめまして」「いつもお世話になっています」といった挨拶が交わされ、会場は一気に和やかな雰囲気に包まれました。
この時間は単なる親睦にとどまらず、ユーザーさま、パートナー企業さま、そしてGMOサインのカスタマーサクセス・セールスといった作り手が入り混じり、「これからのGMOサイン」を共に考える貴重な時間となりました。




「その悩み、わかります!」ユーザーさま同士の“共感”と“発見”
普段はなかなか顔を合わせることのない他社の担当者さま同士ですが、「GMOサインユーザー」という共通項ですぐに意気投合されている姿が印象的でした。
各テーブルでは、
- 社内への展開をどこから(どの部署から)始めたか
- 紙と電子が混在する“ハイブリッド期”をどう乗り越えたか
- 稟議や承認フローを見直す際に苦労したポイント、工夫したポイント
といった、実務担当者ならではの踏み込んだ実務的な話題が飛び交いました。「うちも最初はそこで躓いたんです」といった共感の声や「なるほど、その使い方は思いつかなかった」という発見の声があちこちから聞こえ、企業の垣根を越えたコミュニティが自然と生まれていました。

直接の声が「次の10年」の道標に
また、今回はGMOサインの運営に携わるメンバーも多数参加させていただきました。「もっとこういう機能があれば嬉しい」「このボタン、いつも助かってます」といった、メールやアンケートでは伝えきれない温度感のある「率直なご意見」を直接伺えたことは、私たちにとっても最大の収穫です。
飲み物を片手にリラックスした雰囲気の中でいただいた皆さまからの叱咤激励の一つひとつが、次の10年のプロダクト開発における重要な指針となります。社員がメモを取りながら熱心に話し込む場面も多く見られました。
最後は笑顔で!豪華賞品が当たる抽選会
会の終盤を盛り上げたのは、感謝の気持ちを込めた抽選会です。iPadやカタログギフトなどの豪華賞品が発表されるたび、会場からはどよめきと歓声が上がりました。

これからのGMOサインと電子契約との向き合い方
その熱気冷めやらぬまま迎えたクロージングでは、GMOサイン事業部 牛島より、改めて参加者のみなさまへの感謝の気持ちと、次の10年に向けた決意が語られました。

今回の「10th Anniversary 感謝イベント」は、GMOサインの10年を支えてくださったみなさまと、これからの10年を一緒に創っていくためのスタート地点でもあります。
「また次のイベントでも会いましょう」と声を掛け合い、これからのパートナーシップを再確認する中で、イベントは幕を閉じました。
ご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました!
これからも「電子印鑑GMOサイン」は、みなさまの契約業務の変革とその先にあるビジネスの成長を全力で支えてまいります。



