古い、遅い、手続きが煩雑。そんな行政サービスのイメージをくつがえす鹿児島県奄美市役所の試み

電子契約サービスの導入を支持する事業者は8割以上
- 北海道室蘭市役所
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鉄鋼や造船、石油精製など、かつては北海道有数の工業港湾都市として栄えた室蘭市。2022年度には「室蘭市行政改革プラン2022」を策定するなど、「財政基盤の強化」や「効率的な行政運営」に努めています。同時に、限られた職員数で多様化・複雑化する市民のニーズへ柔軟に対応するため、デジタル技術を活用した業務の効率化にも着手。今回は「GMOサイン」を活用した同市の電子契約の利用状況について聞きました。
取材協力北海道室蘭市役所 契約検査課契約検査係 係長 石橋英毅さま
業種 | 契約類型 | ご利用プラン |
---|---|---|
地方自治体 | 建設工事請負契約、物品購入契約、業務委託契約、指定管理者にかかる協定書など | 契約印&実印プラン |
記事の要約
- 行政サービスの改善と働き方改革の一環として電子契約サービスの導入を検討
- テレワークやフリーアドレスの実現にも欠かせないペーパーレス
- 「GMOサイン導入支援」を活用し、例規の改正や運用フローの策定をスムーズに
- 室蘭市の電子契約サービス採用に好意的な事業者が8割以上
―室蘭市で電子契約サービスを導入するに至った経緯を教えてください。
まず2022年9月に市を挙げてDX推進に取り組む方針が示されました。その後、その方針に従って、具体的にどんな分野から着手していくのか検討が重ねられ、翌年3月に5つの項目が明らかになりました。そのなかに文書管理システムの導入とあわせて、入札と契約手続きの電子化がありました。公的文書のコンビニ交付の普及促進やキャッシュレス決済の推進といった市民サービスの利便性向上といった目的に加え、このDX推進は、庁内で働く職員にとっても、多様な働き方を可能にする職場環境の整備という目的も兼ねていました。
―室蘭市役所における多様な働き方というのは、具体的にどのような働き方を指すのでしょうか。
コロナ禍をきっかけに庁内でもテレワークの選択が可能になりました。コロナ禍から数年が経ち、業務も平常時に戻っていますが、場所や時間にとらわれない働き方を望む声が現在も職員から上がっています。また、テレワーク以外にも職場環境の整備の観点から、フリーアドレスの導入も進めています。各自にデスクが割り当てられて業務を行っている部署が大半ですが、一部の課で自席を設けず、パソコン一台あれば、庁内の好きな場所で仕事ができるという環境を試験的に取り入れようとしています。こうした作業環境下ではペーパーレスのほうが便利だということもあり、契約締結や文書管理のデジタル化とも親和性が高いものと考えています。
―電子契約の事業者はどのように選定されたのですか?
市役所では、通常、次年度の予算申請を前年の秋に行います。今回2024年度内の利用を考えていたため、2023年秋に本格的な準備に取り掛かりました。事業者を選定するにあたっては、「電子署名の有効性」に加え、「事業者に費用負担がない」こと、「操作が簡易である」こと、そして「3社間以上で契約締結ができる」といった機能を有することを仕様書で示した上で、入札を実施しました。こうして「GMOサイン」の導入が決まったのですが、一度トライアル利用を行い、さらに「GMOサイン導入支援」を活用することで、例規の改正や運用フローの策定、説明会の実施などの導入準備を進めていきました。
―現在、どのような契約で電子印鑑GMOサインを利用されていますか?
契約検査課では、工事請負に関する契約や、物品の購入に係る契約で主に「GMOサイン」を活用しています。また、他の課でも、業務委託契約や指定管理者に係る協定書の締結などに用いられています。2024年8月1日の運用開始から2025年3月31日までに全庁でおよそ170件の契約が「GMOサイン」によって締結されています。当初200件を目標にしていたため、若干、想定よりは少ない件数になっています。2025年度中に700件、翌2026年度には800件という電子契約の締結件数の目標を立てているため、事業者への再告知や職員への利用推進を促すことで達成したいと思っています。
―電子契約を導入したことに対する市内の事業者の反応はいかがでしたか?
電子契約による手続きを実施していただいた事業者の方々に向け、アンケート調査を行ったところ、「とても事務負担が軽減された」という回答が47.9%、「やや事務負担が改善された」という回答が36.2%でした。両者をあわせると好意的な意見が8割に達し、事業者の皆様から事務負担が改善できると電子契約の導入を高く評価いただいています。具体的には「いままで30分かかっていた契約に関する事務作業が5分になった」「契約書を作成、郵送、押印する作業が不要になり、業務が改善した」といった声が寄せられています。また、庁内に目を向けても、紙の契約書での締結手続きで行われる電話や対面による事務手続きや説明に要する時間が減り、メールでのご案内に代わることで、事務作業量の減少につながっています。
―契約手続きが電子印鑑GMOサインによって電子化されたことで、トラブルや職員の方の戸惑いはありませんでしたか?
職員が閲覧できる資料は導入当初にGMOサイン担当者からいただいた説明会で使用したマニュアルと、契約検査課で作成した1枚の簡単な手順書、そして庁内のイントラネットにFAQを掲載したくらいです。にもかかわらず、操作に関する職員からの質問はほとんどありません。問い合わせがあったとしても、まだ電子契約に触れたことがない職員が「電子契約をしたいという事業者がいるのですが、どうしたらいいのですか?」といった極めて初歩的なものに留まっています。それだけ職員も簡単に扱えているということだと思っています。戸惑うという点で1つだけ記憶にあるのが、契約書のフォーマットについてです。これまでの契約書では署名欄とともに日付を記載する欄を設けていましたが、電子契約で署名手続きを行うと自動的にタイムスタンプで操作の日時が記録される仕様となっています。そのため、相手方に署名を依頼する段階では、日付欄を空白にしておかなければならないのですが、従前は「令和 年 月 日」と記載した契約書を様式としていたため、日付欄を削除してよいのかどうか、といった問い合わせをいくつかいただいていました。
―その他、現在、電子印鑑GMOサインを利用していて感じる便利な点はありますか?
現在、GMOサインをLGWAN環境で使用していますが、もし同環境下でなければ、締結した契約書ファイルを一度、外部送信用のPCに転送してから、文書の保存などの作業を進める必要がありました。こうしたひと手間が不要になった点にも、利便性を感じています。
―お忙しいところ、ありがとうございました。
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