古い、遅い、手続きが煩雑。そんな行政サービスの
イメージをくつがえす鹿児島県奄美市役所の試み

鹿児島県奄美市役所

離島地域で契約書の郵送に時間がかかるという地理的な問題を抱えていた鹿児島県奄美市役所。また電子契約システムの導入には、信頼性の担保と行政専用のネットワークへの接続という行政サービスならではハードルがありました。それらを乗り越え、すぐに電子契約率50%を達成した秘訣について聞きました。

取材協力鹿児島県奄美市役所 総務部 契約・検査指導課 契約・検査指導係長 積山幸裕さま  契約・検査指導係 主査 林辰巳さま

業種契約類型ご利用プラン
市役所建設工事請負契約、業務委託契約、物品売買契約、物品リース契約、修繕請負契約など契約印&実印プラン

記事の要約

  • 離島地域で契約書の郵送に時間がかかるという奄美市の地理的事情をDXで改善
  • 地方自治法施行規則の一部改正も導入への後押しに
  • 「ハイブリッド署名」と「LGWAN-ASP」への対応がシステム採用のカギに
  • 操作が簡単!と契約相手の事業者からの評判が高い

―電子印鑑GMOサインを導入されることになった、きっかけを教えてください。

2021年1月にGMOさんから「実証実験をしませんか?」とご提案をいただいたのがきっかけです。
実は、お話をいただくまで、電子契約を導入しようなんて考えてもいませんでした。そのようなシステムを地方自治体が導入する際には、まず国が運用をはじめ、それが県から市町村へと数年間かけて徐々に普及していくものだと思い込んでいたんです。ですが、GMOさんから電子契約のメリットを聞くうちに業務負担が軽減されるなら導入を検討しても良いのではないかと思うようになり、実証実験を行うことにしました。
奄美市は離島であり、郵送での契約書のやりとりに日数を要してしまうという地理的な問題を抱えていました。また、大型の公共事業では印紙代も高額になり、事業者の金銭的負担も無視できません。実施に向けた協議を行っていたタイミングで地方自治法施行規則の一部が改正されたことも導入への後押しとなりました。

―地方自治体法施行規則の改正は、どんな内容だったのですか?

以前の地方自治法では、事業者と地方自治体が電子契約を結ぶ際には、「改ざんの検知やなりすましを防止する機能がある電子契約サービスを利用すること」、そして「総務省令で定める電子証明書を取得すること」が条件となっていました。
しかし、改正によって電子証明書を要求する項目が削除され、事業者が負担なく利用できる電子印鑑GMOサインのような「立会人型の電子契約サービス」の利用が可能になりました。
奄美市でも新潟県三条市のような電子契約を先行して導入している自治体の規則を参考にしながら例規集を改正することで、電子契約でも紙の契約と同じ法的拘束力を持つよう文書に変更していきました。

―実証実験はどのような内容で実施されたのですか?

一定期間、電子印鑑GMOサインを無償で利用させていただくというものだったのですが、まずは実証実験に参加いただける事業者を選定することからはじめました。契約件数が多かった事業者を選び、説明会への参加を依頼。同時に市役所内でも市職員向けの説明会も実施しました。
最終的には、市内の水道工事事業者が加盟する奄美市管工事協同組合さんや、奄美市シルバー人材センターさんにご協力いただき、電子契約での締結を行いながら、導入した場合の効果や課題を検証したのですが、従来の紙での契約と比べ、作業時間の大幅な短縮、契約締結に伴う郵送代や収入印紙代といった経費の削減になることがわかりました。
奄美市では例年、8月から9月にかけて来年度の実施計画を立てますが、そこで電子印鑑GMOサインの採用を提言。担当課や財政課による審査を経て電子印鑑GMOサインの導入が決定しました。

―GMOサインに決めた理由はなんだったのですか?

ポイントは2点です。まずは「ハイブリッド署名」が利用できること。電子契約のサービス事業者の選定にあたって、奄美市は地方自治体であるため、厳格に本人確認をした電子証明書による電子署名(当事者型電子署名)が望ましいという判断基準がありました。
一方で、契約相手方となる事業者には、より活用してもらえるような、できる限り負担の少ない電子署名(立会人型電子署名)が良いと考えました。電子印鑑GMOサインは、これらを両立する「ハイブリッド署名」を採用する数少ないサービスでした。
もう1点は、「LGWAN-ASP」への対応です。地方自治体では、職員がインターネットと切り離されたLGWANという行政専用のネットワークを主に利用しています。インターネットに接続できる端末もあるのですが、各フロアに1台程度と非常に少なく、電子契約によって事務作業を効率化させることを考えると、「LGWAN-ASP」の対応は欠かせませんでした。「LGWAN-ASP」の接続設定やアカウントの登録作業など、何から何までGMOさんにはサポートしていただきました。

―電子印鑑GMOサインを導入したことで業務はどう変わりましたか?

まず2022年6月導入後から約4カ月目の10月までの契約書の締結が約550件あったのですが、このうち約280件が電子契約に切り替わり、この時点で電子契約率が50%を超えました。現時点では全契約件数約700件のうち電子契約の件数は379件に増加し、電子契約率は54%に達しています。書面での契約の場合、1件当たり平均3~5枚の紙を使用していたため、1137枚~1895枚を削減した計算になります。契約業務にかかる時間の変化も割り出したのですが、製本・押印・郵送(持参)といった作業が不要となったことで、1件当たり20~30分程の作業時間が短縮されました。トータルすると、およそ126時間~189時間の効率化が実現できた計算になります。
さらに、コスト面では、事業者の印紙代の負担を12月時点で約200万円節約した計算になり、紙代や印刷・製本台等と合わせてコストや手間の削減と併せて、地元の中小企業の皆様のDX・経営力強化につながったと考えられます。

―電子印鑑GMOサインを市役所内に浸透させるために、何か工夫した点などはありますか?

実証実験を行っていたこともあり、システムを導入するにあたって効果や操作方法への不安はありませんでした。ただ、運用が開始した後、スムーズに電子契約へ移行するためには、実際に契約事務を行う担当職員に対して「全体的な事務手続きの流れ」「役割分担」を明確にすることが重要だと考えました。
そこで担当職員向けに電子契約版の「契約事務の流れ」という資料を作成し、これをもとに説明会を実施しました。紙での事務作業に慣れた職員の事務負担を最小限に抑えるため、電子契約システムへの文書アップ、市役所側での電子署名、そして相手方への電子署名方法のレクチャーまでを一括して私たちの契約・検査指導課で行うフローにした点も電子契約の浸透を促すための工夫です。

―電子印鑑GMOサインを導入して特によかったと感じている点があれば、教えてください。

事務作業の効率化やコストの削減といった効果はもちろんですが、操作方法が簡単で分かりやすいので、契約相手である事業者の方々に喜んで頂けていることが、導入してよかったと感じている点です。
そのほかには署名画像が自動的に作成される機能がとても便利ですし、フォルダで書類を管理できる点も使いやすいと思います。従来は担当課がそれぞれ書類を保管しているため、契約書をチェックする会計関係の部署は必要に応じて、各課に出向き、書類を取り寄せる必要がありました。その点、電子印鑑GMOサインでは会計部署にすべてのファイルにアクセスできる権限を与えることで、契約書の名前や担当課の名称で検索し、すぐに閲覧できるようになり、手間が省けます。
また、全ての署名が完了した際に、メールで担当職員に通知できるので、簡単に締結を知らせることができ、重宝しています。

―電子印鑑GMOサインの今後の運用目標を教えてください。

奄美市ではおよそ1年間に約1,700件の契約が締結されており、このうち4月に多くの契約が集中します。2022年6月にシステムを導入して以来、今年10月以降は約50%が電子契約に置き換わっています。これを100%にすることが現在の目標です。そのためには電子契約の利用促進を、さらに職員に周知していくことが大切だと考えています。

―お忙しいところ、ご協力いただきありがとうございました。今後とも、GMOサインをよろしくお願いいたします。

  • 感染症対策を実施の上、インタビューを行っております。
  • 掲載している内容、所属やお役職は取材当時のものです。

自治体名
鹿児島県奄美市役所
所在地
鹿児島県奄美市名瀬幸町25-8
URL
https://www.city.amami.lg.jp/

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