古い、遅い、手続きが煩雑。そんな行政サービスのイメージをくつがえす鹿児島県奄美市役所の試み

契約の電子化に前向きな姿勢を引き出すことができた
事業者を対象にした導入時の説明会が決め手
- 福島県郡山市
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東北エリアで有数の経済規模を誇る福島県郡山市。同市では20年以上前から行政機関のデジタル改革に取り組んでいます。無駄を省いた行政サービスの効率化や、時間や場所を選ばず手続きできる利便性の向上を目的に、電子契約サービスの導入を決意。2023年10月1日から「GMOサイン」による電子契約の利用が開始されています。現在の利用状況について、お話を聞きました。
取材協力福島県郡山市役所 財務部 契約検査課 契約管理係 係長 今井辰哉さま 財務部 契約検査課 契約管理係 主査 深谷美果さま
業種 | 契約類型 | ご利用プラン |
---|---|---|
地方自治体 | 建設工事請負契約、物品購入契約、業務委託契約など | 契約印&実印プラン |
記事の要約
- 紙での契約は事務負担が大きく、事業者にも来庁をお願いするなど不便を感じていた
- 契約検査課だけではなく、各課がそれぞれ契約締結する実情からサービス導入をどう周知するのか不安を感じていた
- 約350社が参加した事前説明会で約7割の事業者がサービス利用に前向きに
- 最大40分かかっていた契約書の作成作業が最短5分に
―郡山市で電子契約サービスを導入するに至った経緯を教えてください。
電子契約サービスについては、2022年に導入の検討をはじめ、2023年10月からサービスの利用を開始しています。5レスと呼んでいますが、郡山市では「ペーパーレス(印刷不要)」「キャッシュレス」「カウンターレス(窓口対応不要)」「ファイルレス(デジタルデータ化による省スペース化)」「ムーブレス(来庁不要)」という方針を掲げて、市民サービスの向上や業務効率化を目的としたDXを推進しています。この一環として電子契約サービスを導入することになりました。従来の紙での契約書の作成では事務負担も大きく、また事業者の方々も契約書の受け渡しのために何度も来所する必要がありました。こうした事務処理の効率化や事業者の事務負担の軽減もサービス導入の要因になっています。
―現在、どのような契約で電子印鑑GMOサインを利用されていますか?
郡山市では、契約検査課を通して行う案件だけでなく、各担当課が直接事業者と締結する案件も含めて、庁内のほぼすべての案件が電子契約の対象になっています。例外をあげるとすると、請書や法令などの規定によって書面の契約書が必要とされているもの、そのほか契約期間が10年を超えるものや、自動更新条項が付されているものなどについては、現在のところは対象外としています。
―電子契約を導入するにあたって不安や事前に検討すべき課題はありましたか?
さきほどお答えしたように郡山市では、契約検査課を通さず、各課がそれぞれ契約手続きを行う案件も多く存在しています。そのため、電子契約を導入するにあたっては、各課に対してどのように周知するべきか不安を抱えていました。また、電子契約では一度契約書を登録すると、その後の修正ができません。もし、誤りがあった場合には取消、あるいは覚書などによって修正をすることになり、紙の契約書が訂正印で対応できるのに対して、手間がかかります。こうした誤りが起きないよう運用できるのか、不安でした。誰でもわかるような操作マニュアルを作成して、庁内に周知することで解決を試みましたが、これまで誤りはほとんど報告されていないので一定の成果があったと言えるかもしれません。
―郡山市が電子契約を導入することに対して、市内の事業者の反応はどんなものでしたか?
郡山市としても初めて導入するサービスですし、事業者の方々も電子契約を日頃から利用していなければ、電子化で手続きがどう変わるのか、イメージしにくい可能性があります。そのため、事業者の方々が電子契約に対して、乗り気でなかったらと心配していました。ただ、電子契約のスタートに際して、GMOサインの導入支援担当者に市役所で、説明会を実施していただきました。そこで電子契約の基本情報から電子化するメリット、操作方法まで丁寧に、直接事業者へ説明いただきました。説明会には市内の事業者を中心に約350社が参加したのですが、説明会後のアンケートでは約7割の事業者が電子契約サービスを利用したいと回答していました。
―電子印鑑GMOサインを導入したことで、契約手続きはどのように変化しましたか?
紙で契約書を作成する場合には、契約書を印刷し、袋とじを作成し、そして一つの契約書としてまとめるといった作業がまずあります。この作業に10分から20分は必要になります。しかも、1契約につき2部が必要になるので、毎回20分から40分の時間を要していたことになります。対して、GMOサインで作業すると、すでに作成してあるデータをPDF化してアップロード、その後、必要事項を入力するだけですので、5分~10分程度で完了します。契約書を作成する作業だけ考えても、5分から30分程度は、作業時間を削減することができる計算になります。さらに、紙の契約では、作成した契約書を相手方に送付、もしくは手渡して押印していただき、再び当市で押印して契約書にするまで、長ければ1週間要することもありました。これがGMOサインになると、スムーズに契約書の受け渡しが進めば、その日のうちに双方の押印まで完了することができる可能性があり、大幅な時間削減につながっています。そのほか、GMOサインの場合、契約書の作成が完了すると、事業者に自動でお知らせメールを送信してくれます。わざわざ電話やメールで連絡する必要がなく、便利です。
―事業者の皆さんが電子契約を利用するメリットにはどんなものがありますか?
収入印紙が不要になるので、コスト削減に繋がります。また、来庁して契約書の受け渡しをしたり、郵送で契約書をやりとりする必要がありません。こうした手間がなくなることは事業者の皆さんにとっても事務負担の軽減につながっていると思います。
―電子契約の活用について、今後の目標や方針があれば、教えてください。
郡山市では現在、全庁的にDX化の推進を行っています。令和7年度および令和8年度の入札参加資格審査申請でもオンライン申請を実施しました。契約手続きについても郡山市の事務負担はもちろんのこと、契約相手方となる事業者の皆さんの負担がさらに減るよう、契約事務のDX化を推進していきたいと思っています。また電子化の対象は契約書のみですが、将来的には請書の電子化にも着手し、さらなる負担軽減につなげていきたいと考えています。
―お忙しいところ、ありがとうございました。
- 掲載している内容、所属やお役職は取材当時のものです。
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