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研究開発部門の秘密保持契約と電子契約

 

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企業の研究開発部門(R&D)における情報の管理は、非常に重要です。共同研究やサンプル試作等の外注を検討する段階で秘密保持契約(Non-Disclosure Agreement:NDA)の締結を急ぐ企業も多いのではないでしょうか。

研究開発部門における秘密保持契約の重要性、そして締結には電子契約が向いている理由を説明します。

目次

秘密保持契約(NDA)の構成

秘密保持契約は、主に以下の要素で構成されています。

①秘密の「範囲」の確定
②秘密の「形態」の設定
③秘密を「知ってよい人」の設定
④秘密の「利用目的」の設定
⑤秘密にする「期間」の設定
⑥後片付けの方法
⑦ペナルティ

①秘密の「範囲」の確定は、「何が秘密なのか」を明確にすることで契約当事者が秘密を守りやすくすることを目指すものです。「秘密だと思っていたのに」「秘密だとは思わなかった」というトラブルを抑えることができます。秘密の「範囲」に関しては、できるだけ詳しく具体的に契約に記載すべきですが、秘密情報をどの程度開示するかは契約締結後の相手方との関係性によっても変わってきます。

そこで、秘密をすべて列挙するようなことはせず、「相手方が秘密と指定したもの」という少し緩い表現で記載したうえで、②秘密の「形態」の設定を行うことで秘密の範囲を明確化する場合もあります。具体的には、秘密情報の含まれる書面の角に「confidential」「プロジェクト外秘」などとスタンプを押しておくことをルール化する、口頭で伝えた秘密情報に関しては、その場で秘密であることを伝えたうえで期限を決めて書面化することなどを契約書に織り込みます。

研究開発部門における締結の重要性

研究開発部門の秘密保持契約書では、③秘密を「知ってよい人」の設定④秘密の「利用目的」の設定が特に重要になります。理由は以下の2点です。

(1)特許法の観点から

特許を受けた発明を独占的に実施することができる権利を特許権といいます。特許法における「発明」とは物の発明だけでなく、物を生産する方法の発明なども含まれます。また、「実施」とは、特許が「物の発明」の場合、特許対象の物を生産、使用、譲渡、輸出又は輸入する等の行為、また、「物を生産する方法の発明」の場合、対象となった生産方法により物を生産したり、その方法により生産した物を使用、譲渡、輸出又は輸入したりする行為を指します。

特許が認められる要件は特許法に記載されていますが(第29条、第29条の2、第32条、第39条)、第29条第1項においてその新規性を要件としています。特許出願よりも前にすでに、世の中に知られてしまった発明や実施された発明は、新規性を有しないとして、特許は認められないのです。例えば、特許出願をするよりも前に、発明の内容を書籍や論文、インターネットなどに公開した場合は、新規性が失われることになります。そのため、研究開発に関する情報をどのように社内で管理するかを定め、情報を外部に開示する場合には③秘密を「知ってよい人」の設定(誰がその情報に触れてよいのか)を秘密保持契約でとりきめておくことが、企業の戦略上、非常に重要なのです。

特許法第29条第1項
産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。

一 特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明
二 特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明
三 特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明
  又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明

(2)情報コンタミネーションの観点から

情報コンタミネーション(情報コンタミ、コンタミとも言われます。英語のcontaminationに由来します)とは、他社の技術情報や秘密情報が自社情報に混入してしまった状態のことです。情報コンタミネーションが発生すると、使用可能な自社の情報の範囲の特定が困難になります。また、他社の営業秘密を不正使用してしまう恐れがあるのです。これを回避するためには、自社の情報と他社の情報を明確に分けて管理しておくこと④秘密の「利用目的」の設定⑤秘密にする「期間」の設定を行うこと、秘密情報の記載された書面やデータの破棄、返却ルールといった⑥後片付けの方法を定めることが重要です。

このように秘密保持契約は、自社の情報を利用されて他社に出し抜かれないようにするためのものだけでなく、相手の情報と自社の情報を切り分け、他社の秘密情報をうっかり開示してしまうリスクや開示された秘密情報の目的外使用のリスクを低減する機能を持つのです。

研究開発部門の秘密保持契約には電子契約が最適である理由

研究開発部門における秘密保持契約締結の重要性について説明してまいりましたが、あわせて秘密保持契約の締結はなるべく早い段階で行うことが重要であることがイメージできたのではないかと思いますが、締結を急ぐべきである契約内容がほぼ一律で、ひな型が整備・管理しやすい契約は、電子契約との相性が非常に良いのです。

契約書を印刷、製本し郵送で契約当事者の双方が押印しあう時間をかけるより、電子契約サービスを用いればオンラインであっという間に押印までのプロセスが完了します。さらには、電子契約サービスでは締結先の検索や契約の有効期限の管理もデジタルで簡単に行うことができます。

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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
電子署名/電子サイン/電子印鑑(デジタルハンコ)/脱印鑑(脱ハンコ)/電子文書/電子証明書/電子帳簿保存法など、電子契約にまつわる様々なお役立ち情報をお届けします。

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